【機会費用】
どうもminiいけ先生です。
人々が主体的に意志決定をしていくときに
「希少性」
「トレードオフ」
「インセンティブ」
が重要なキーワードになりました。詳細記事はこちら。
特にトレードオフは物事を決めるうえで大切な考え方でした。
「何かをとれば、何かを失う。」
何かを選択するときに人は「損をしたくない」と思います。
損をしないために、今回扱う「機会費用」について学んでいきましょう!
今回の記事でわかること
- 機会費用の意味
- 機会費用の具体例
- 機会費用を知っておくメリット
機会費用は目に見えないもの

機会費用
選ばれなかった選択肢から得られたであろう利益のうち最大のもの
経済学において「費用(コスト)」とは、何らかの経済行為をする際にかかる損失のことです。
家計がモノを買うという活動は消費行為で、それにかかる費用は損失になります。
また、企業が生産活動をするときに労働力・資本・土地などの生産要素に支払う賃金や利子、地代が企業にとって費用になります。
これらは目に見える費用(コスト)です。
一方で、目に見えない形でかかる費用を機会費用といいます。
会計の帳簿を見ても書いていませんし、利益計算をするときにも確認することはありません。
機会費用は選択しなかったものの価値をさします。
Aという選択をした結果、BやCという機会を失った。
このBとCのうち最大の費用(コスト)が機会費用です。
機会費用は同一期間中に最大利益を生む選択肢とそれ以外の選択肢との「利益の差」のことです。
多くの人はこの「見えないコスト」を意識しない、もしくは軽視してしまいます。
それは「見えない」ので意識しづらいからです。
しかし、この機会費用を意識しないと自分がしている損にも気づかないのです。
機会費用を知るには具体例で
AかBかを選択するうえで、感情ではなく機会費用を用いて考えると合理的に判断をすることができる場合もあります。
具体例をみていきましょう。
【ケース1】第一志望の大学を目指して浪人するとき
高校生は進路選択をしていきます。
進路選択のときに機会費用を用いて考えていくのもありです。
第一志望でない大学に受かった場合です。
浪人生になって第一志望の大学を目指すのか、それとも第一志望じゃなくても大学生になるのかという選択を迫られる。
- 選択肢 A
不合格だった第一志望の合格を目指して1年間浪人する。その後、新卒で就職する。 - 選択肢 B
合格した第二志望の大学に通い、新卒で就職する。
ここではAを選択したとしましょう。
主に「生涯給与」で比較していきたいと思います。

浪人をすると、1年間の予備校の授業料や生活費を失います。
ここでは200万円としておきます。実際に失った額は200万円ですが、「機会費用」も考えてみましょう。
大学生に1年間なれないということは就職活動も1年遅れる。
入社が1年遅れるということは、「在社期間が1年短い」という事ですから、1年分の給料が失われたことになります。
新入社員1年間の収入が400万円だったとした場合、これが機会費用になります。
ただし、注意すべきは機会費用は選択しなかった最大利益を生む選択肢でしたね。
ここでは、新入社員1年間の収入よりも、定年前の最後の1年の収入の方が額は多いのでこちらが機会費用になります。
定年前の1年間の収入を1200万円とした場合、この額を機会費用ととらえます。
浪人して失った費用は、目に見える予備校の費用・生活費の200万円+目に見えない機会費用1200万円=1400万円となります。
1年間入試のためだけに浪人するということは、非常に機会費用が大きくなるということです。
目に見えないコストを考えると浪人はかなりのリスクだと言えます。
【ケース2】2時間の合コンにいったとき

大学生になって2時間の合コンに誘われたとしましょう。
楽しかった!出会いもあった!よかった!
ちょっと男の子が多めに出しましょうって2時間5000円。
では、5000円支払いましたというだけではなく、機会費用を考えましょう。
合コンをした2時間、時給1000円でアルバイトできたかもしれない。
機会費用=最大利益を生む選択肢-それ以外の選択肢
今回のケースでは、最大利益となる選択肢は「アルバイトで2000円の給与を得ること」です。
「5000円の料金を支払って合コンをすること」との利益の差は、2000円-(-5000円)=7000円となります。
【ケース3】2022年共通テスト政治経済本試
こちらの問題では機会費用の定義を記してくれています。
さらに利益が大きいのは駐車場>公園>宅地といった順になります。
これを踏まえて、ある土地をすべて駐車場として利用した場合を考えます。
トレードオフ(何かを選択すれば、何かを失う)の考えから、他の用途には利用できません。
駐車場を選択したときに、他の選択肢である公園・宅地のうちどちらが最大利益を得られたかと考えると「公園」ですよね。
機会費用を判断基準に
機会費用を理解することで、本当の意味で得のできる行動を選びとることができるようになります。
機会費用は目には見えない費用であるため、意識しなければ金額を知ることはできません。
そのため機会費用の概念を知らない人は、ついつい感覚で選択をしてしまいがちです。
そしてその結果、多額の損をしてしまう可能性があります。
人生は選択の連続です。
何かを選択すると他のものが選択できなくなります。トレードオフの関係です。
その時に機会費用という考え方は判断基準となりやすいです。
その意思決定を裏付ける要素として、この機会費用という概念を知っていたらより良い選択が出来るかもしれませんね。