【市場の失敗とは】

経済分野

どうもminiいけ先生です。

「市場の失敗」ってそもそもどのようなことをいうの?

意味が分からないという人が多いのではないでしょうか。

実は、この世は「市場の失敗だらけ」ということを知っていましたか?

完全競争市場ではない状態のこと=市場の失敗と言います。

この記事では、共通テストで頻出の「市場の失敗」について解説します。

この記事を読むと受験生は得すること間違いなしです。

今回の記事でわかること

  1. 市場の失敗とは
  2. 市場の失敗の特徴
  3. 外部経済
  4. 外部経済の例
  5. 外部不経済
  6. 外部不経済の例
  7. 社会的共通資本の整備

解説動画はこちら

「市場の失敗」とは

「市場の失敗」は別の言い方で「市場の限界」ともいいます。

市場の失敗というと何か失敗したの?何かをやらかしてしまったの?と思う人が出てくるので言い換えた方が理解しやすくなります。

市場の失敗というのは、「完全競争市場でない状態のこと」をいいます。

完全競争市場についての詳細は以下の記事をご覧ください。

完全競争市場の条件は以下の6つでした。これは私立大学の入試で頻出なので復習を強化しておきましょう。

  1. 売り手と買い手がともに多数いるという状況(原子性)
  2. 財の質が同じである(均一性)
  3. 企業がいつでも容易に資本を調達できる(自由資本)
  4. 新しい事業家が市場に自由に参入できる(自由参入)
  5. 経済的成果を妨げる制限がない(規制なし)
  6. 売り手と買い手の情報差がない(完全情報)

この6つの条件を満たさないと完全競争市場にならないのですが、現実世界でこの条件を満たす市場は存在しません。

すなわち、現実の市場は経済学ではすべて「市場の失敗」であると言えるのです。

「市場の失敗」の特徴

「市場の失敗」という状態には以下の3つの特徴があります。

  1. 価格の自動調節機能が作用しない
  2. 市場での活動が市場を通さずに、第三者に影響を及ぼす
  3. 売り手がいないので、そもそも市場自体が成立しない

①価格の自動調節機能が作用しない

完全競争市場では、売り手と買い手がともに歩み寄り価格が決定します。

これを価格の自動調節機能(マーケットメカニズム)といいます。

独占市場や寡占市場では企業間の競争力が弱まり、大企業が価格支配力を持つため価格が下がりにくいという価格の下方硬直性が発生します。

価格の自動調節機能が働かず、価格が一定になりがちです。

これは完全競争市場とは言えません。

何度も言います。完全競争市場でない状況のこと=市場の失敗でしたね。

②市場での活動が市場を通さずに、第三者に影響を及ぼす

市場での活動が、市場を通さずに第三者に影響を及ぼす場合も「市場の失敗」といわれます。

第三者に影響を及ぼすパターンは2つあって、第三者にプラスの場合は「外部経済」第三者にマイナスの場合は「外部不経済」といいます。

外部経済

外部経済は、ある経済主体の行動が市場を通さずに他の経済主体にプラスの影響を及ぼすことです。

外部経済の具体例は以下の通りです。

  1. 養蜂業者がミツバチを飼育してハチミツをつくること
  2. 新幹線に新たな停車駅ができること
  3. 伝染病を予防するため予防接種を行うこと

養蜂業者がミツバチを飼育してハチミツをつくること

養蜂業者(Supply)はハチミツを作り、消費者(Demand)に売ります。

ここで市場が成り立っているのですが、育てたハチの受粉によって近くの果樹園は作物の繁殖が可能になります。

この果樹園は市場を通さずにプラスの影響があったということですね。

このように費用を払わずに、プラスの影響を享受する経済主体をフリーライダーといいます。

果樹園もプラスですが、合わせて養蜂業者もハチのためのミツを得ることができます。

この例は、センター試験や2020年の早稲田大学商学部で出題されていたものなので注意が必要です。

新幹線に新たな停車駅ができること

鉄道会社(Demand)が利便性や集客拡大のために、建設会社(Supply)に新たな停車駅の建設を依頼します。

鉄道会社と建設会社で市場が成り立っていますが、新たに停車駅ができることによって、その周辺地域の経済の活性化につながります。

地価の上昇にもつながる可能性があるので、プラスの影響があると言えます。

伝染病を予防するため予防接種を行うこと

伝染病を予防するためのワクチンを製薬会社(Supply)がつくり、国(Demand)が買い取って国民に接種をします。

製薬会社と国とで市場が成り立っていますが、ワクチンを接種した人が経済活動を行うというプラスの影響があるといえます。

外部不経済

外部不経済は、ある経済主体の行動が市場を通さずに他の経済主体にマイナスの影響を及ぼすこととあります

売り手(Supply)は財やサービスなどの何らかの付加価値を生み出します。

買い手(Demand)はこの付加価値ある商品やサービスを受けるとお金を支払います。

ここに買い手(Demand)と売り手(Supply)で市場が成立しています。

しかし、売り手側が工場で付加価値を生み出す際に排気ガスを排出していたとします。

この排気ガスにより公害や環境破壊が起きた場合、第三者にマイナスの影響を与えているので外部不経済になります。

この第三者は、市場を通さずに被害を受けています。

外部不経済は売り手側が意図しないところで発生するといった特徴もあります。

公害被害の場合、売り手側が故意でなかったとしても公害被害者に対して病院代を負担する必要がありますね。

売り手はその病院代を負担するために、販売する商品価格を上げます。

このように外部不経済の問題を可視化し、生産品の値上げによって回収することを「外部不経済の内部化」といいます。

③売り手がいないので、そもそも市場自体が成立しない

市場というのは買い手(Demand)と売り手(Supply)が出会う場所のことをいいます。

企業の最大の目的は利潤の最大化です。

売り手は利益が出ない市場からは撤退します。

売り手(Supply)がいない場合は、そもそも市場が成立せず「市場の失敗」といえます。

しかし、買い手(Demand)、サービスや財を必要とする人は存在します。

そのような場合は、政府が介入して売り手(Supply)となります。

具体例でいえば、道路や公園などの公共財や警察や消防などの公共サービスが挙げられます。

道路の整備や道路を必要としている人はいますが、民間会社が一般道をつくっても儲けは出ないので政府が供給します。

警察や消防も儲かりはしないけど、必要なものなので政府が供給します。

政府が供給者になっている時点で市場の失敗です。

他にも、森林・大気・水道・教育・報道・公園・病院など産業や生活にとって必要不可欠な社会的資本である「社会的共通資本」の整備をするのも政府の仕事になります。

よって、社会的共通資本の整備も市場の失敗の例となるわけです。

以上が市場の失敗についてでした。

完全競争市場でない状態=市場の失敗。

ここは共通テストレベルだと頻出なので、しっかり復習しておきましょう。

今回の記事はここまで!

人気記事必読!公共・倫理・政治経済で9割取る方法