【国富についてわかりやすく解説】
どうもminiいけ先生です。
国富っていったい何かわからない。
国富というワードを聞いたことはあるけれど、詳細まではわからないという人が多いのではないでしょうか。
実は、国富はその国の経済活動の結果として生まれた蓄積された成果なのです。
つまり、その国の所有する形あるものすべてを金額であらわしたもののことです。
この記事では、受験生がフワッとしか理解していない「国富」について解説します。
この記事を読むと受験生は得すること間違いなしです。
最後までご覧ください。
今回の記事でわかること
- フローとストック
- 実物有形資産
- 在庫
- 有形固定資産
- 有形非生産資産
- 無形固定資産
- 国富に国内金融資産は含まない
- 対外純資産
- 国富に該当するもの
解説動画はこちら
フローとストック
「豊かさ」は、どれだけ稼いだか、またはどれだけ価値のあるものを持つかという二つの側面があります。
これがフローとストックの概念です。
多くの資料集や教科書では、フローとストックだから「お風呂(フロー)」で例えているのかもしれませんが、このような図を使って説明がなされています。
四角い箱のようなものがあってそこに蛇口がついていますね。
簡単に言うと、この蛇口をひねるという行為が経済における生産活動です。
1年間の生産活動によって、付加価値であるお金が生み出されて流れていきます。
このお金の流れのことを「フロー」といいます。
生み出されたお金が使われていく場合は消費で、貯められる場合は貯蓄です。
金融機関に貯蓄されているものは、誰かに貸し出されています。
誰かの貯蓄は、誰かの負債なのです。貯蓄=負債です。
この貯蓄や負債が企業の成長や経済成長のための投資に回っていきます。
投資に回っていけば、また新たな生産が行われるということです。
どれだけ価値のあるものを持っているのか、資産の蓄積を表すのがストック(国富)です。
今まで貯めたストックに今年度1年間のストックが貯まっていきます。
今回扱うのは「どれだけ蓄積されたか」などの資産の蓄積を表すストックを扱っていくということを理解しておいて下さい。
国富=有形資産
国富というのは、1つの国がある時点で持つ「財産」を金額にして表したものです。
財産とはいったい何をさすのか?
それは「形あるものすべて」です。
これを実物有形資産といいます。
この実物有形資産を保有しているのは3つの経済主体である家計・企業・政府です。
3つの経済主体に関しての詳細は以下の記事をご覧ください。
【3つの経済主体と経済循環】
どうもminiいけ先生です。 今回は経済主体と経済循環について見ていきたいと思います。 経済とは、財やサービス
実物有形資産とは、形あるすべてのもの。
この実物有形資産は在庫と有形固定資産と有形非生産資産の3つで構成されます。
在庫
実物有形資産の代表的なものが在庫です。
在庫の具体例は原材料・仕掛け品・完成品・貯蔵品があります。
在庫は再生産可能な生産資産と考えられます。
有形固定資産
実物有形資産のなかでも有形固定資産というものがあります。
固定資産とは基本的に1年以上継続的に保有・使用する資産のことを指します。
長期保有する形あるものですから、住宅・建物・機械・設備・船舶・車両・器具・備品などが該当します。
有形非生産資産
有形非生産資産という、もう何がなんだか分からない資産もあります。
これは、具体例で理解しておきましょう。
有形非生産資産は土地・地下資源・漁場などがあります。
先ほど紹介した有形固定資産(住宅や機械など)は生産活動の結果として生まれたものですが、有形非生産資産はそれ自体が生産活動の結果生まれたものではありません。
そのため「非生産」資産とよばれます。
ただただ、そこにある自然資源です。
これも国の所有する蓄積物、国富になります。
国富=無形資産
先生もうやめて!
形あるものが国富って言ったじゃん!
基本的な理解はそれでOKです。
しかし、無形固定資産というものもあります。
無形固定資産の具体例は、漁業権・ダム使用権・水利権・特許権・実用新案権・意匠権・商標権・ソフトウェア・育成権・営業権があります。
「〇〇権」とつくものはほとんどが無形固定資産に該当します。
これらは、有形固定資産(住宅や機械など)と比べると、いくら使っても摩耗したり、消耗したりしない資産です。
知的財産生産物(特許権、商標権、著作権など)は無形固定資産として、国富に含む!というのが私立大学入試で問われたことがあります。
ここはかなり難易度が高いので政治・経済で私立大学入試を考えている人は注意してください。
国富≠金融資産
実物有形資産とは別に金融資産と呼ばれるものがあります。
金融資産の具体例としては現金や預貯金・株式などの有価証券があります。
これら金融資産は、国富には該当しません!
ここは頻出です!とても大切なのでもう一度。
現金や株式などの金融資産は国富には含まない!
金融資産はなぜ国富に含まないのか?
「国民の総資産から国民の総負債を引いた純資産」が国富になります。
金融資産は誰かにとっては資産ですが、誰かにとっては負債になるので相殺されるので国富には含みません。
また、意味の分からないことを言っていると思ったでしょ?
金融資産の代表的なものが預金です。
銀行が預金者からお金を預かって、そのまま持ってるだけだと何の利益も出ません。
この預金の2割程度を残して、残りの8割を住宅ローンを組みたいという個人や会社の運営資金に使いたいという企業に貸し付けます。
その貸し付けたお金にレンタル料である利子をつけて銀行は儲けているんです。
この銀行が貸し付けているお金は、個人の預金でもあるけど、会社にとっては負債ですよね?
国内の預金などの金融資産は日本全体にとって財産であると同時に、誰かの負債、誰かの借金にあたるので相殺されるんです。
よって、「国富に国内金融資産は含まない」ということになります。
「国内の」という点にも注意しておいて下さい。
国富=対外純資産
国富を算出する際の公式があります。
- 国富=実物有形資産+対外純資産
- 国富=総資産-総負債
ここまで国富には、実物有形資産(在庫+有形固定資産+有形非生産資産)、知的財産権などの無形固定資産があるということがわかりました。
一方で国内金融資産は預金=負債で相殺されるため、国富に含まないというのもわかりました。
では、日本の個人や企業・政府が海外に所有する資産はその国の保有する資産である国富に含まないのでしょうか?
これは含みます。
対外資産から対外負債を引いた対外純資産は立派な国富です。
- 対外純資産=対外資産 ―対外負債
日本が外国に預けたり、貸し出したりしてるものを対外資産といいます。
逆に、日本が外国から借りたお金などは対外負債といいます。
対外資産から対外負債を引いた額が対外純資産ということになって、そちらは国富に含まれるということです。
さきほど「国内金融資産は国富に含まない」としたのは、国内で誰かの預金は誰かの負債として相殺されるからだと理由を説明しました。
海外に保有する金融資産はこれに該当するでしょうか?
たとえば、日本人が海外の会社にお金を貸し付けていたとしましょう。
これは、日本人にすると後々利子がついて返還されるので資産です。
一方で、外国の企業にとっては負債となります。
国富というのは「日本の蓄積している価値」を見るものなので、日本人と外国企業のやり取りは相殺されませんよね。
よって、対外資産には海外金融資産は含まれるんです。
この対外純資産がプラスであれば債権国、マイナスであれば債務国といわれます。
国富=実物資産+対外純資産
国富の所有者は3つの経済主体である家計・企業・政府です。
家計が保有する有形固定資産といったら住宅や耐久消費財があります。
耐久消費財はテレビや洗濯機などの家電や車、家具など長期にわたって使用されるものを指します。
企業が保有する実物資産の代表的なものは在庫です。
有形固定資産でいえば、企業設備が挙げられます。
政府の保有する有形固定資産といえば社会的共通資本です。
社会的共通資本は道路・鉄道・生産基盤を充実、整備するための産業関連資本と上下水道・病院・公園・学校等の国民の生活向上に強く結びつく生活関連資本というものがあります。
有形非生産資産の代表的なものは土地です。
他にも資源・森林・池などは有形非生産資産であり、国富に含みます。
無形固定資産は知的財産権などを指し、国富に含みます。
海外資産は対外純資産のことを指し、こちらも国富に含みました。
そして何より重要なのが国富に国内金融資産は含まないということでしたね。
ちなみにですが、国内金融資産の値上がりとか株の値上がりなどはGDPなどの国民所得の計算にも参入されないということも知っておいていいと思います。
最後に日本の国富の増大を見ておきましょう。
1970年から比べると2017年は日本の国富が増大しているのがわかりますね。
日本の場合は特に固定資産と土地が国富の中でも大きな割合を占めてるというのもわかります。
固定資産は住宅・建物・その他の構築物、機械・設備などを指しました。
共通テストではグラフ読み取り問題が増加しているので、注目してしっかり見ておくようにしましょう。
国富は掘り下げると非常に難しい分野かもしれませんが、国富に国内金融資産は含まないっていうポイントをしっかりおさえて、一つ一つ丁寧に理解していきましょう。
今回の記事はここまで!