【NNP・NI・NNW・グリーンGDPについてわかりやすく解説】

経済分野

どうもminiいけ先生です。

NNP・NI・NNW・グリーンGDPってそもそも何なの?

公式も覚えなくてはいけないし苦手としている人が多いのではないでしょうか。

実は、「付加価値」の概念を理解して、公式を覚えれば他の受験生と差をつけられる分野になります。

特にNNPは共通テストレベルでは頻出なので、公式だけでなくその概念をしっかりと理解しておきましょう。

この記事では、受験生が苦手とする「国民所得」でもNNP・NI・NNW・グリーンGDPについてその基本とその特徴について解説します。

この記事を読むと受験生は得すること間違いなしです。

最後までご覧ください。

今回の記事でわかること

  1. GNPとGDPの基本
  2. NNP(国民純生産)
  3. NI(狭義の国民所得)
  4. NNW(純国民福祉)
  5. グリーンGDP

解説動画はこちら

GNPとGDPの理解が基本

今回の豊かさのモノサシはどれだけ稼いだか、またはどれだけ価値のあるものを持つかという二つの側面があります。

GNPやGDPはどれだけ稼いだかを測るもので、生み出した付加価値をみるものです。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

  • GNPは日本人(日本国民)が生み出した付加価値
  • GDPはチーム日本(日本国)が生み出した付加価値
  • GNP=総生産額-中間生産物またはGDP+海外からの純所得
  • GDP=GNP-海外からの純所得または国内総生産額-中間生産物

NNP(国民純生産)

豊かさをモノサシとして総生産額では精度が低いので、正確にしたGNPやGDP、より正確にしたNNP、少し角度を変えたNIなどがあり、それぞれ計算の方法が違います。

GNPやGDPより正確な付加価値を見るときはNNP(国民純生産)を使います。

NNPはnet national productの略称です。

NNPはGNPから固定資本減耗(減価償却費)を引くと算出ができます。

  • NNP=GNP-固定資本減耗(減価償却費)

GDPから固定資本減耗を引いてしまう人が多く出没するので注意してください!GNPから固定資本減耗を引くんですよ!

GNPから引く「固定資本減耗」とは何でしょうか。

たとえば1億円で機械を購入した場合、この機械を使って付加価値を生みだします。

しかし、その付加価値を生み出す機械も使い続けていると10年後にポンコツになってしまうので、1億円で新たな機械に買い替える必要があります。

ということは、付加価値はその機械の価値を削りながら生み出していることになりますよね。

機械を使って10万円の価値があるテレビ1台を生み出して販売したとしても、10年後に1億円で機械を買い替えるための費用が必要になります。

テレビ1台を作るために機械の価値を削っているということです。

これを固定資本減耗減価償却費といいます。

固定資本減耗を1万円とすると、テレビを生産した人が本当に生み出した額は10万円ではなく、機械の価値を1万円ぶん削りながら生産したので9万円じゃねーの?というお話しです。

固定資本減耗をコストと考えて引いていけば、生み出された付加価値の本来の価値が分かるのではないかという考えです。

これがGNPから固定資本減耗を引いたNNPの概念になります。

NI(国民所得)

続いてNI(国民所得)についてみていきましょう。

その前に「国民所得」は広い意味でいうとGNP・GDP・NNP・NIなどの付加価値を指します。

今から見ていくNI(国民所得)はそれと区別するために「狭義の国民所得」と言われることもあります。

NIはNational Income の略称です。

NNPの時点で生産に要した費用はすべて差し引かれています。

しかし、その計算は市場価格のまま行われるので、間接税が含まれる半面、政府の補助金の分だけ割安となっています。

  • NI=NNP-間接税+補助金

ん?難しいなと思った人も多いでしょう。

市場に流通しているリンゴとテレビを例に考えていきましょう。

たとえば、農家が生み出したリンゴがあります。

これが1個100円の付加価値がついて取引されていたとします。

実際に市場に流通するときには、間接税である消費税が加わり1個108円のリンゴが取引されていることになります。

リンゴ農家が生み出した価値は1個100円のリンゴだったとしても、市場に流通しているリンゴの価値は間接税が加わった108円で計算されてしまっています。

本来の価値は100円なので、間接税の8円は引くという考え方になります。

それに対して、テレビの例をみておきましょう。

市場に流通しているテレビが10万円だったけれど、政府による補助金、たとえば環境にやさしい「エコ家電補助」などが適用されて8万円になったとしましょう。

本来のテレビの価値は10万円でしたが、補助金で値引きされた結果8万円で計算されてしまっています。

本来の価値を計算したい場合、補助金が出た2万円ぶんは足しましょう。

間接税は引くけど、補助金は足す。

NNP-間接税+補助金=NI(狭義の国民所得)を算出することで、純粋度の高い付加価値をあぶり出すことができるのです。

NNW(純国民福祉)

さて、ここで少し違った角度のお話しをしましょう。

たとえば、すべてが平穏無事で公衆衛生も行き届いた社会があるとしましょう。

ただその社会には不幸にして少数の失業者がいるとします。

この社会には夏になっても蚊が一匹も出ません。

失業者たちは蚊を輸入してきて繁殖させて、同時に蚊取り線香を作って売ろうと考えました。

その社会は結果的に、蚊に悩まされることになったけれど、蚊取り線香という付加価値が生まれ、失業者もなくなって国民所得が増えました。

めでたし、めでたし。

って、この話しで本当に豊かになったと思いますか?

GNPやGDP、NNPやNIは本当の豊かさ、真の豊かさを測れているのでしょうか?

そこで、違う角度から豊かさというもの見たモノサシが1973年に発表されました。

それがNNW(国民純福祉)です。

家事労働やボランティア、余暇時間は国民の豊かさに関係するけれど、市場で取引されていません。

一方で、公害防止のための費用や交通事故などの病院代は国民の豊かさが招いたものでないのに市場取引がなされていて、GDPのプラスに貢献してしまうという状況です。

そこで、GNPに余暇や家事労働・ボランティアなどを足して、環境劣化・都市化に伴う損失などをマイナスすれば国民の真の豊かさが測れるれるのではないかと考えたのです。

  • NNW=GNP+(家事労働・ボランティア・余暇時間)-(環境劣化・都市化に伴う損失)

しかし、このNNWは数値で表すことが難しく、計算が複雑になるので採用はされていません。

グリーンGDP

もう一つ違う角度から見たモノサシとしてのグリーンGDPというのがあります。

国連が環境破壊による経済的損失の貨幣換算を提唱しています。

  • グリーンGDP=GDP −環境破壊による経済的損失

ただし、こちらもNNWと同様に環境破壊を数値化して算出するというのが難しいという指摘があり、採用には至っていません。

最後に公式まとめをしておきます。

共通テストレベルだとNNPが頻出です。

付加価値をどれだけ生み出したかの公式は頻出なので、それぞれ単純暗記でもいいので覚えておいて下さいね。

今回の記事はここまで!

人気記事必読!公共・倫理・政治経済で9割取る方法