【GNP・GDPをわかりやすく解説】

経済分野

どうもminiいけ先生です。

GNP・GDPってそもそも何なの?

公式も覚えなくてはいけないし苦手としている人が多いのではないでしょうか。

実は、「付加価値」の概念を理解して、公式を覚えれば他の受験生と差をつけられる分野になります。

この記事では、受験生が苦手とする「国民所得」についてその基本とその特徴について解説します。

この記事を読むと受験生は得すること間違いなしです。

最後までご覧ください。

今回の記事でわかること

  1. フローとストックの概念
  2. 付加価値とは
  3. 総生産額
  4. GNP(国民総生産)
  5. GDP(国内総生産)
  6. GNPとGDPの違い
  7. GNPとGDPの公式

解説動画はこちら

豊かさをはかるモノサシ

あなたにとって豊かさとは何でしょう?

その国にとって豊かさとは何でしょう?

この「豊かさ」を数字にすることで、明確にしていこうというのが今回のテーマです。

たとえば年収500万円のAさんと年収1000万円のBさんならどちらの方が豊かでしょうか?

答えは明白ですよね。Bさんです。

ただし、Aさんは株券を1000万円持っていて3000万円のマンションを持っているとしましょう。

Bさんは貯金300万円を持ってるとします。

この場合は、資産としてはAさんの方が多く持っている状態です。

「豊かさ」は、どれだけ稼いだか、またはどれだけ価値のあるものを持つかという二つの側面があることが分かります。

これがフローストックの概念です。

フローとストック

多くの資料集や教科書では、フローとストックだから「お風呂(フロー)」で例えているのかもしれませんが、このような図を使って説明がなされています。

四角い箱のようなものがあってそこに蛇口がついていますね。

簡単に言うと、この蛇口をひねるという行為が経済における生産活動です。

1年間の生産活動によって、付加価値であるお金が生み出されて流れていきます。

このお金の流れのことを「フロー」といいます。

生み出されたお金が使われていく場合は消費で、貯められる場合は貯蓄です。

金融機関に貯蓄されているものは、誰かに貸し出されています。

誰かの貯蓄は、誰かの負債なのです。貯蓄=負債です。

この貯蓄や負債が企業の成長や経済成長のための投資に回っていきます。

投資に回っていけば、また新たな生産が行われるということです。

どれだけ価値のあるものを持っているのか、資産の蓄積を表すのがストック(国富)です。

今まで貯めたストックに今年度1年間のストックが貯まっていきます。

今回扱うのは「どれだけ生み出したか」などのお金の流れであるフローを扱っていくということを理解しておいて下さい。

経済では付加価値を生み出すことが重要

今回注目していくのはフローの中でも今年度1年間の生産活動です。

さきほどの図でいうと蛇口をひねる活動ですね。

蛇口をひねる活動、生産活動によって生み出されたものを「付加価値」と言います。

付加価値とは新たに生み出された価値のことです。

豊かさをはかるモノサシの1つが付加価値で、どれくらい生み出す力があるかを測ります。

この付加価値はGNP・GDP・NNP・NIなどで表すことができます。

ここでパニックになる人が多いのでもう一度かみ砕いていいますね。

GNP・GDP・NNP・NIは、1年間でどれくらいモノやサービスなどの付加価値(新たに生み出された価値)が生産されたのかを測るものだということです。

どれくらい蛇口をひねって生産活動ができたかを測る指標です。

価値を貯めるストックではなく、価値を生み出すフローに着目しているということです。

付加価値というのは非常に荒っぽく計算された「総生産額」とよばれるものがあります。

これだとモノサシとして精度が低いので、正確にしたGNPやGDP、より正確にしたNNP、少し角度を変えたNIなどがあり、それぞれ計算の方法が違います。

このGNP・GDP・NNP・NIはすべて合わせて「国民所得」といわれることもあります。

総生産額

では総生産額から例を挙げながら考えていきましょう。

まず農家が10万円のコストで100万円分の小麦を生産したとしましょう。

その小麦を使って製粉業者が130万円分の小麦粉を生産しました。

その小麦粉を使ってパン屋が200万円分のパンを生産しました。

結果的にトータルで生み出された価値(付加価値)はいくらでしょう?

なんだよ、そんなの簡単だよとの声が聞こえてきそうです。

そうですね、100万円+ 130万円+ 200万円で合計430万円です。

生み出されたぶんのすべてを合計したものが総生産額です。

総生産額はただ合計しただけで正確ではない

生み出されたぶんのすべてを合計した総生産額だと、正確な付加価値の数値は算出されません。

正確な数値を算出したい場合、農家が生み出した付加価値、製粉業者が生み出した付加価値、パン屋が生み出した付加価値をそれぞれ見ないといけないからです。

農家は100万円の小麦を生み出しましたが農薬などで10万円のコストをかけて作ったわけですから、100万円-10万円=90万円が付加価値になります。

同様に製粉業者は130万円分の小麦粉を生み出しましたが、コストとして小麦の仕入れや輸送費などで100万円かかっているので30万円が付加価値になります。

パン屋は新たな価値としてパンを200万円生み出しましたが、コストとして小麦粉の仕入れや輸送費などで130万円かかっているので70万円が付加価値になります。

農家の90万円と製粉業者の30万円とパン屋の70万円を合計した190万円が新たに生み出されたもの、付加価値になります。

総生産額は430万円だったので、190万円とは大きな差がありますね。

付加価値を算出する場合、総生産額から中間生産物といわれる材料や燃料などのコストを引かなくてはいけません。

  • 付加価値=総生産額ー中間生産物

ただし注意点は、この中間生産物に人件費は含まないということです。

中間生産物(コスト)に人件費は含まない

ここで政治・経済2003年センター本試の問題を見ておきます。

付加価値の合計として正しいもの①~④のうちから一つ選べ、ということです。

再度確認「中間生産物に人件費は含まない。」

中間生産物に含まない人件費に該当する賃金の50円をすべて消しましょう。

農場の付加価値は売上の総生産額100円から肥料代の10円を引いた90円になります。

ジュースメーカーの付加価値は売上の200円からりんご仕入れ代、容器代の110円を引いた90円になります。

販売会社の付加価値は売上の300円からジュース仕入れ代、運送会社への支払い210円引いた90 円になります。

農場の90円+ジュースメーカーの90円+販売会社の90円の合計270円が付加価値となります。

GNP(国民総生産)とGDP(国内総生産)の違い

総生産額は全国民が生産・販売の過程で生み出したお金をすべて足したものだというのが分かりました。

ここから中間生産物を引いたものが付加価値となります。

まずは、付加価値のなかでもGNP(国民総生産)とGDP(国内総生産)に関して考えていきましょう。

結論から!

  • GNPは日本人(日本国民)が生み出した付加価値
  • GDPはチーム日本(日本国)が生み出した付加価値

GNPとGDPの違いは、日本人が生み出したのか、それとも日本国が生み出したのかという点です。

GNP(国内総生産)

GNPはGross National Productの略称です。Nationalなので「国民の」です。

GNPは日本国民が生み出した付加価値を計算するもので、「国民」総生産ともいわれます。

たとえばアメリカで活躍して、付加価値を生み出している日本人大リーガーであるダルビッシュ有さんや大谷翔平さんは、日本国民が外国から受け取った所得、すなわち日本人が生み出した付加価値なのでGNPに含まれます。

海外の市場を利用して、日本企業が生産した付加価値は日本国民が生産したものとしてとらえます。

もちろん日本人が日本国内で生産した付加価値は、日本人が生産してるのでGNPに含まれます。

GNPは2000年よりGNI(国民総所得)と名称変更されていますが受験ではGNPで聞かれることが多いのでこのままでOKです。

GDP(国内総生産)

GDPはGross Domestic Productの略称です。Domesticなので「国内の」です。

GDPは日本国内で生み出された付加価値を計算するもので、「国内」総生産ともいわれます。

たとえば外国人アーティストが日本公演を行った場合、外国人が日本にやって来て付加価値を生み出しています。

日本国内で外国人や外国企業によって生産された付加価値はGDPに含まれます。

もちろん日本人が日本国内で生産した付加価値は、日本人が生産してるのでGDPに含まれます。

  • 海外の市場を利用して、日本人または日本企業が生産した付加価値はGNP
  • 日本人が日本国内で生産した付加価値はGNP
  • 日本人が日本国内で生産した付加価値はGDPでもある
  • 日本国内で外国人または外国企業が生産した付加価値はGDP

これはGNP?それともGDP?

以下の4つは日本のGNPとGDPどちらに該当するでしょうか?

1.レディー・ガガ(外国人アーティスト)が日本公演で生産したもの。
2.タイガーウッズ(外国人プロスポーツ選手)がアメリカツアーで生産したもの。
3.大谷翔平(日本人スポーツ選手)がアメリカ大リーグで生産したもの。
4.綾瀬はるか(日本人女優)が日本の芸能界で生産したもの。

①はGDPですね。レディーガガさんは日本人ではないのでGNPには含みません。ただし、日本で公演を行っているので日本のGDPになります。

②はどちらにも該当しません。タイガーウッズさんはアメリカ人です。加えてアメリカのツアーで生産しているので日本のGNP・GDPには変動はありません。

③はGNPです。大谷翔平さんは岩手県出身の日本の宝です。GNPには含まれますが、アメリカ大リーグで生産された付加価値はGDPには含みません。

④はGNP・GDPどちらにも含まれます。綾瀬はるかさんは日本人でGNPに含まれますし、日本の芸能界で生み出した付加価値はGDPにも含まれます。

GNPとGDPを表す公式をしっかり区別

私はシンプルにこれを覚えておくのがベストだと思います。

  • GNP=総生産額-中間生産物
  • GDP=GNP-海外からの純所得

総生産額は日本人が生産したならば、そこが海外であってもすべて含みます。

総生産額からコストである中間生産物を引くとGNP(国民総生産)という付加価値が算出されます。

これは1年間に日本人が生み出した付加価値ですね。

このGNPから「海外からの純所得」を引いたらGDP(国内総生産)という付加価値が算出されます。

  • 海外からの純所得=日本国民or日本企業が外国から受け取った所得-日本国内の外国人or外国企業に支払った所得

海外からの純所得は簡単に言うと、海外にいる日本人の大谷翔平さんの給料は足して、日本国内で外国人アーティストなどが生産した所得は引くよ!ということです。

この計算式で、日本国内で生産された付加価値がわかります。

グローバル化が進んでいる現在ではGDPの方が多く使われます。

  • 国内で働く外国人が多ければ、GNP<GDPとなりやすい
  • 国外で働く国民が多ければ、GNP>GDPとなりやすい

GNPとGDPはどちらが多いかは一概には言えませんが、上のような傾向がみられます。

GNPとGDPを図解すると下のようになる傾向があります。

他にも確認しておきたい公式①

教科書や資料集によっては以下の公式を紹介しているものもあるようです。

  • GNP=GDP+海外からの純所得
  • GDP=総生産額-中間生産物

さきほど、GDP=GNP-海外からの純所得という公式を紹介しましたね。

これを移項させるとGNP=GDP+海外からの純所得になります。こちらは理解できると思います。

問題はGDP=総生産額-中間生産物です。

これには大きな落とし穴があって、総生産額は「国内の」総生産額を指します。

もう一度公式たちを確認します。

GDP=GNP-海外からの純所得
GNP=総生産額-中間生産物

②の公式を①に代入すると…

GDP=総生産額-中間生産物-海外からの純所得
   =国内総生産額-中間生産物

つまり総生産額-海外からの純所得=国内総生産なわけです。

国内総生産は言葉通りで国内でのすべての生産です。

総生産額は日本人が生産したならそこが海外であっても含むというものです。

なのでここから海外の部分を引くと国内総生産になります。

つまりここで紹介した公式は表現の違いでしかありません。

他にも確認しておきたい公式②

GDPと簡単に言うと「とある一国がいくら稼いだか?」を求めるものです。

  • GDP=消費+投資+政府支出+(輸出-輸入)

GDPという付加価値にプラスとなる「消費」と「投資」と「政府が出したお金」を合計します。

さらに付加価値にプラスとなる貿易の利益はあったのかを考えるために「輸出-輸入」を計算し、加算します。

これが、その国の生み出した付加価値であるGDPになります。

GDPにおいて特に重要なのは「消費」だということは知っておきましょう。

世界でGDPランキング1位のアメリカでは、個人消費がGDPの約7割を占めており、個人消費の拡大がGDP成長率の押し上げに大きく影響します。

GNP(GNI)とGDPはしっかり区別して理解しておきましょう。

付加価値をどれだけ生み出したかの公式は頻出なので、それぞれ単純暗記でもいいので覚えておいて下さいね。

今回の記事はここまで!

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