【完全競争市場】

経済分野

どうもminiいけ先生です。

「完全競争市場」ってそもそもどのような市場のことをいうの?

意味が分からないという人が多いのではないでしょうか

実は、この世には完全競争市場は存在しないということを知っていましたか

完全競争市場ではない状態のこと=市場の失敗と言います。

完全競争市場が存在しない現実世界の市場はすべて「市場の失敗」です。

この記事では、私立大学の入試で頻出の「完全競争市場の条件」について解説します。

この記事を読むと得すること間違いなしです。

今回の記事でわかること

  1. 完全競争市場の定義
  2. 完全競争市場の6つの条件
  3. 完全競争市場が存在しない理由
  4. 情報の非対称性
  5. 寡占市場
  6. 独占市場

解説動画はこちら

完全競争市場とは

上のグラフでは、価格が3万5000円のときは超過供給、価格1万円のときは超過需要の状態です。

買い手(Demand)の方には価格決定権がなく、売り手の方は買い手の気持ちを無視して価格つけても売れ残ります。

価格を決定できない経済主体のことを「プライステイカー」といいます。

市場は需要と供給のお互いの妥協点を探って価格を決定する、バランスを調節する機能があるんでした。

これを「価格の自動調節機能」または「マーケット・メカニズム」といいます。

復習ならびに詳しくは以下の記事をご覧ください。

実は、この需要・供給曲線や価格の自動調節機能はすべての市場に成り立つものではないんです。

これらが成立するのは、「完全競争市場」のときだけです。

完全競争市場は以下の6つの条件を満たした市場のことを言います。

この条件は私立大学の入試で頻出なのでチェックしておいて下さい。

  1. 売り手と買い手がともに多数いるという状況(原子性)
  2. 財の質が同じである(均一性)
  3. 企業がいつでも容易に資本を調達できる(自由資本)
  4. 新しい事業家が市場に自由に参入できる(自由参入)
  5. 経済的成果を妨げる制限がない(規制なし)
  6. 売り手と買い手の情報差がない(完全情報)

①売り手と買い手がともに多数いる(原子性)

市場に多くの売り手(Supply)と買い手(Demand)がいないと、完全で公平な競争にはなりません。

よって、売り手と買い手が多数いることが完全競争市場の条件になります。

一部の企業が支配している市場を寡占市場、一社が支配している場合は独占市場と言われます。

②財の質が同じである(均一性)

財というのは簡単にいうと「形のあるもの」です。もう少し言い換えると「商品」のことです。

完全競争市場では、商品の品質が同じでなくてはなりません。

現実世界では、他社製品との差別化をはかるために企業は必死に商品開発をしたり、広告宣伝をうったりしているので「財の質が同じ」というような市場はなかなか見られません。

③企業がいつでも容易に資本を調達できる(自由資本)

3つの経済主体のうち企業は生産活動を行います。

この付加価値を生み出す生産活動に必要なものが資本です。

一般的な意味での資本は、事業活動の元手となる資金のことを指します。

その資本を株式で調達すれば自己資本、社債や銀行からの借入で調達すれば他人資本になります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

④新しい事業家が市場に自由に参入できる状態(自由参入)

完全競争市場では、産業への新規企業の参入に制限がない状態で行なわれる競争というのが条件になります。

同時に、市場からの退出も自由な状態であることも条件です。

法律による制約が厳しい分野(医療や環境など)は参入障壁は高くなってしまいます。

⑤経済的成果を妨げる制限がない(規制なし)

自由競争の根底にあるのが「制限を設けない」ということです。

たとえば、付加価値を生み出すための生産要素(労働力・資本・土地)の移動の自由が保障されていることなどがあります。

⑥売り手と買い手の情報差がない(完全情報)

市場に関する情報を全ての市場参加者が持っている状態のことです。

価格決定権のある売り手だけが情報を持つような状態は完全競争市場の条件には当てはまりません。

完全競争市場は存在しない

6つの条件がクリアされている市場が「完全競争市場」ですが、この条件に該当する市場は現実にはありません。

miniいけ先生が途中まで該当しているかなと思った市場がガソリン市場です。

ガソリン市場では①売り手と買い手がともに多数います。②ガソリンは財の質も大体同じです。③企業もいつでも容易に資本を調達できます。

④新しい事業家が市場に自由に参入できるとありますが、詳しくは分からないですがおそらく大丈夫でしょう。

⑤経済成果を妨げる規制がないという条件は当てはまらないです。

というのも、ガソリンは危険物として「危険物規制」というものがあります。

⑥売り手と買い手の情報差がない完全情報も該当しません。

たとえば、ガソリンスタンドでもそれぞれ価格が違うことが多くみられますよね。

同じようなガソリンでも価格が異なるのはなぜなのかという情報を、すべての消費者が得ているわけではありません。

ガソリン市場では⑤⑥の条件が満たされなかったので、完全競争市場とはいえないのです。

情報の非対称性

完全競争市場の条件のうち、特に満たすのが厳しい条件が「完全情報」です。

売り手と買い手の情報差がない、「完全情報」というのは市場では実現できないのです。

たとえば中古車を買うときに、「この車の情報は〇〇ですよ」「その車種なら1000万円はしますね。いいものは高いんですよね。」などの営業トークがありますが、車の情報に関しては圧倒的に売り手の方が持っています。

完全競争市場の条件は「売り手と買い手の情報差がない」ということでした。

しかし、売り手の方が圧倒的な情報を持っていて、買い手の方が情報が少ない。

このような状況を「情報の非対称性」といいます。

逆選択

情報の非対称性が存在する状況では、情報優位者(売り手)は情報劣位者(買い手)の無知につけ込み、粗悪な商品を良質な商品と称して提供したり、都合の悪い情報を隠してサービスなどの提供をしようとします。

そのため、買い手はその商品やサービスに対して、「本当にこの商品は大丈夫なのか?」と必要以上に疑心暗鬼となる傾向がでてきます。

すると売買が不活発となり、粗悪と予想されるであろう財やサービスばかりが市場にあふれかえります。

これを、通常は良いものが選ばれ生き残るという「選抜」や「淘汰」の逆で、「逆選択」といいます。

たとえば中古車市場の売り手と買い手を考えてみましょう。

買い手は、中古車情報誌などから、買いたい中古車の価値は20万円から100万円までの間に分布していることを知っているとします。

一方で、売り手は本当の中古車の価値を知っています。

この時、まず、買い手が中古車情報誌から得た情報の平均値である60万円を買い取り価格として提示したとしましょう。

もし、この中古車の本当の価値が60万円より高ければ、そのことを知っている売り手は取引をしないはずです。

取引に応じるのは、本当の価値が60万円以下のときだけになります。

買い手は相手が取引に応じるならば、中古車の価値は60万円以下であるということを知ることになるので、買い手にとって中古車の価値は20万円から60万円の間だという情報に変わります。

そこで、買い手は新たな価値の平均値である40万円を提示しなおします。

すると先ほどと同じ流れになって、買い手が取引に応じるのは本当の価値が40万円以下のときだけとなります。

これが繰り返されると結果として、質の高い中古車を保有し、買い手から提示された中古車価格が割安であると感じる売り手は市場から退出します。

逆に、質の低い中古車を保有し、買い手から提示された中古車価格が割高であると感じる売り手だけが市場に残ります。

最終的には、中古車市場には質の低い粗悪な中古車を保有する売り手だけが残り、買い手がそれを理解すると、市場が成立しなくなります。

中古車市場での取引は閑散として唯一取引されるものは粗悪な商品のみ、となってしまうのです。

すべての市場は「完全情報」の状態ではなく、完全競争市場とは言えないのです。

では、この完全競争市場とは何なのか?

島耕作が「完全競争市場は現実にはほとんど存在しないが、プライステイカーの概念を知るために重要な市場だ」と言っています。

これは、「売り手は買い手の気持ちを無視しても商品が売れ残るという原則を知ることが大切だ」と解釈して下さい。

プライステイカーとは価格を決定できない経済主体=買い手のことでした。

完全競争市場は机上の空論ですが、買い手の気持ちを無視してはならないという概念を知るうえでは重要な考え方なのです。

完全競争市場以外の市場

寡占市場

寡占市場の「寡」という字は読み方がわからない人も多そうです。

寡占「かせん」と読みます。

「募」や「暮」など似たような字も多いですので、漢字ミスには注意しましょう。

寡占は「少数の」という意味です。

寡占市場は、ある商品の市場を少数の企業が占めている状態のことを指します。

たとえば日本の市場でいうとビール業界は寡占です。

アサヒ・キリン・サントリー・サッポロで寡占状態。

他にも、携帯通信業界も寡占状態です。

2021年2月段階ではNTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの3社のシェア率が依然として高い状況です。

独占市場

独占市場は寡占市場と違って、ある商品の市場を一社の企業が占めている状態です。

「一社の独占」はマーケットシェアが100%ということです。

独占市場はその一社に価格決定権があり、競争原理が働かないので、買い手は価格における恩恵をほとんど受けません。

日本では電気通信は公営の日本電信電話公社(電電公社)が独占していましたが、中曽根康弘内閣のもと1985年電気通信事業法が制定され民営化されました。

電電公社がNTTに民営化され、参入規制が撤廃されたことで、競争原理が働くようになり通信費が安くなった例もあります。

以上、完全競争市場の条件を中心にしっかり復習をしておきましょう。

今回の記事はここまで!

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