【需要曲線・供給曲線】

経済分野

どうも miniいけ先生です。

需要曲線と供給曲線はグラフの読み取り方がまったく分からない。

需要・供給曲線が出題されたら飛ばすという人が多いのではないでしょうか。

実は、このグラフ問題は理解ができれば得点源になるということを知っていましたか?

需要・供給曲線の仕組みを知れば、経済が感情で動くということがより理解できて経済の勉強が楽しくなります。

この記事では、需要曲線と供給曲線の特徴をそれぞれ解説します。

この記事を読み終えると需要曲線・供給曲線について理解できること間違いなしです。

今回の記事でわかること

  1. 需要曲線とは
  2. 需要が増える要因5つ
  3. 需要が増えたときの需要曲線の変化
  4. 供給曲線とは
  5. 供給が増える要因3つ
  6. 供給が増えたときの供給曲線の変化
  7. 価格の弾力性とは

解説動画はこちら

需要曲線=欲しいという気持ち

家計・企業・政府の家計と企業の経済活動に焦点を当てましょう。

経済が動く一つの要因に、消費者が「~を買いたい」という欲望があります。

この「~が欲しい」という欲望・気持ちのことを「需要(Demand)」といいます。

人間の欲望は際限がありません。

しかし、家計の支出できる金額は限られています。

給料も限られてくるので、余程の金持ちでもない限り消費者は需要を価格などによって制限していきます。

さて、「~が欲しい」とう気持ちを表した需要曲線について見ていきましょう。

問題を解く時は必ず縦軸と横軸の単位を確認して下さい。

今回は縦軸が価格、横軸を数量となっています。

パンの価格が800円だった場合、消費者はパンを1個しか買わないという選択をしていますね。

これは消費者の心理が働いて、高いといりません&個数を制限するということです。

逆に同じ800円を使うとしても1個200円だった場合、4つ買えます。

例えばスーパーで半額セールとなると、1個だけじゃなくて、じゃあ2個3個と買っておこうかなとなります。

消費者は安いとたくさん欲しいと思うわけです。

すなわち、需要曲線である「欲しいという気持ち」は価格が下がれば、増えるので右下がりの曲線になるのです。

需要曲線(D曲線)は右下がりの曲線。

欲しいという気持ちに最も影響を与えているのは「価格」だということです。

需要が増える5つの要因

欲しいという気持ち、需要が増える要因は以下の5つです。

  1. 価格が下がったとき
  2. 嗜好が変化したとき
  3. 国民の可処分所得の増加したとき
  4. 代替財が値上がりしたとき
  5. 補完財が値下がりしたとき

嗜好が変化したとき

「嗜好の変化」とはその商品が流行しているか、してないかということです。

その商品が流行っていたらみんなが欲しいと思います。

最近で言ったらタピオカブームみたいなもんです。

その商品のブームがきてSNSで映えるならば、たとえ値段が高かったとしても、行列ができていたとしても「飲みたい!欲しい!」となるわけです。

その商品がトレンドになるということは、需要が増加することに直結します。

国民の可処分所得が増加したとき

「ふところが温かくなれば財布のひももゆるくなる」とありますね。

可処分所得というのは、家計の所得から租税・社会保険料を引いたもののことです。

いわゆる手取り収入のことをいいます。

使えるお金が増加したら需要も増加します。

代替財が値上がりしたとき

代替財とある一つの財と互いに代わることができる財のことです。

つまり、「ライバル商品との関係性」という意味です。

米とパン、バターとマーガリンなどがその例です。

パンの価格が上がったら米の需要が増えるし、動物性油のバターの価格が上がったら植物性油のマーガリンの需要が増えるといった感じですね。

ライバル商品が値上がりすることによって、代わりとなる商品の需要が増加するということです。

補完財が値下がりしたとき

こちらは先ほどの「代替財の値上がり」と違って「値下がり」ですね。

補完財とは「セットで売れる商品」という意味です。

プリンターとインクなどがその例です。

プリンターが値下がりしてるから買おうとなったら、同時にインクも売れますよね。

ゲーム機が安くなったから買おうとなったら、同時にゲームソフトも売れるますよね。

片方の値下がり、特に本体となる方が値下がりすればセットで需要が増えていきます。

需要が増加すれば需要曲線は右へ移動する

需要が変化する5つの要因が、需要曲線にどのような影響を与えるのかについてみておきましょう。

まずは点Aを見て下さい。パンの値段が800円のときは1個しか売れません。

パン800円は高い!と思う人が多いので消費者は1個しか買わなかったというのがグラフから読み取ることができます。

ところが、景気が良くなって国民の可処分所得が増加したとしましょう。

お金をたくさん持っているのでパンを800円でも3個買いますよ、となります。

点Aは点A’へと右に移動します。

次は点Bを見て下さい。パンの値段は200円です。

安い!と思う人が多いので消費者は4個購入したいと思っているのがグラフから分かります。

そんなときに、パンのブームが来たと仮定しましょう。「パン食べてる奴、おしゃれ」みたいなブームです。

嗜好の変化が起きた場合、400円に値上がりしたとしても4つ買います!となります。

点Bから点B’に移動します。

よって、A’とB’をつなげば需要曲線が右にシフトするのが分かりますね。

需要が増加すれば需要曲線は右へシフトする。

逆パターンのことが起きた場合、需要曲線は左にシフトして需要が減少します。

以上が需要曲線でした。

供給曲線=売りたいという気持ち

消費者の需要に応えているのは市場に財やサービスを提供する生産者、企業です。

その生産者は、できるだけ高い値段で売り、利益を多く出したいと思っています。

できるだけ高い値段で売って、利益を出したいという思いを供給(Supply)といいます。

需要曲線と同じように供給曲線も見ておきましょう。

需要曲線と同様に必ず縦軸と横軸の単位を確認して下さい。

縦軸は価格(Price)、横軸は量(Quantity)ですね。

今回はTシャツをつくると仮定しましょう。

500円の場合、売値が安いとあまり利益が出ないので、2枚しかつくりません。

生産者の気持ちは「安いとつくる気なくなります」です。

それに対して2000円だったら利益も多くなるので「高いとどんどんつくりまっせ」という気持ちになります。

なので縦軸の価格を見て2000円なら横軸の数量は10枚つくることになっています。

価格が上がればたくさん利益が出るので供給は増えます。

供給曲線(S曲線)は右上がりの曲線を描きます。

需要曲線とは全く真逆のものであるということは分かっておきましょう。

供給が増える3つの要因

売りたいという気持ち、供給が増える要因は以下の4つです。

  1. 技術革新(イノベーション)が起きたとき
  2. 生産コストが下がり、利益率が上がったとき
  3. 企業の可処分所得が増加したとき

技術革新(イノベーション)が起きたとき

供給も需要と同じで価格が影響与えるということを分かりましたが、他にも供給が増える要因として技術革新(イノベーション)が起きた場合が挙げられます。

イノベーションを提言したのはシュンペーターでしたね。詳しくは下の記事をご覧下さい。

イノベーションは新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産することです。

イノベーションは以下の4つの形態があります。

  1. プロダクト・イノベーション(新たな製品・サービスを生み出し、売上を上げる)
  2. プロセス・イノベーション(生産方法の効率化で生産性を高める)
  3. マーケット・イノベーション(新たな需要を求めたマーケットの拡大によって生産性を高める)
  4. 組織イノベーション(意思決定権限において他社や他機関との協業で生産性を高める)

生産性向上の源泉はイノベーションとその実社会への適用であり、供給に大きな影響を与えます。

生産コストが下がったとき

この項目は試験では頻出になります。

生産コスト・原材料費が安くなったとき、そのぶん利益が大きくなります。

例えば、原油価格が下落した場合を考えましょう。

原油価格が下落すれば輸送費や生産コストが大幅に下がります。

生産コストが下がったぶんだけ、たくさん物を売れば利益を出すことができるので供給量が増加します。

逆にコストが増大すれば、利益を出しづらくなり供給を減らすか利益確保のために商品の値段を上げるかで対応しなくてはなりません。

急激な原油高や円安はコストが増大するので、供給量が減少したり、値上げが続いたりする現象が起きます。

これがコスト・プッシュ・インフレです。詳しくは以下の記事をご覧ください。

企業の可処分所得が増加したとき

企業の可処分所得、つまり手取り収入が増加するとより多くのお金を生産費に回せるようになります。

企業の可処分所得というのは主に設備投資とかR&D(研究開発費)に回されることが多いです。

生産費に多くの投資がされると、おのずと生産力もupし供給量も増加します。

供給が増加すれば供給曲線は右へ移動する

供給が増える3つの要因が供給曲線に与える影響についてみておきましょう。

たとえばコスト・原材料費が安くなった場合、1枚500円なら利益率低いので2枚しか売りませんと言っていたものが、利益率が上がるので6枚売りたいと考えて供給量が増加しています。

さらに、イノベーションが起きて1枚2000円で10枚しかつくれなかったものが12枚つくれるようになったら、たくさんつくろうと思います。

供給が増加した点と点をつなげば、供給曲線が右にシフトするのが分かりますね。

供給が増加すれば供給曲線は右へシフトする。

逆パターンのことが起きた場合、供給曲線は左にシフトして供給が減少します。

以上が供給曲線でした。

需要曲線と供給曲線を区別する

需要曲線=消費者の欲しいという気持ち=右下がりの曲線

D曲線が右にシフトする要因

  1. 価格が下がったとき
  2. 嗜好が変化したとき
  3. 国民の可処分所得の増加したとき
  4. 代替財が値上がりしたとき
  5. 補完財が値下がりしたとき

供給曲線=生産者の売りたいという気持ち=右上がりの曲線

S曲線が右にシフトする要因

  1. 技術革新(イノベーション)が起きたとき
  2. 生産コストが下がり、利益率が上がったとき
  3. 企業の可処分所得が増加したとき

価格の弾力性グラフは難関私立大学向け

最後に「傾きの違うグラフ」をみておきましょう。

これを「価格の弾力性グラフ」というのですが、上のD1とD2のグラフのようなものを指します。

需要曲線・供給曲線は傾きをみれば、価格の変動が需要に及ぼす影響が大きいか小さいかが分かります。

需要の価格弾力性

需要曲線の傾きを「需要の価格弾力性」といいます。

需要の価格弾力性=需要の変化率(%)÷価格の変化率(%)

この公式は難関私立大学の入試で聞かれることがあるので、受験生は覚えておきましょう。

この公式に当てはめて出た数値が1より大きかったら弾力性が大きいと言われ、1より小さければ弾力性が小さいといわれます。

具体例を見ておきましょう。

生活必需品は需要の価格弾力性が小さい

例えば醤油の市場において、縦軸が価格、横軸が数量とした場合です。

1本250円だった場合、200本出荷されます。

それが値下がりして200円になったとしてもグラフでは220本しか出荷されていません。

250円から200円に値下がりしているので価格の変化率が20%、出荷されている数量は200本から220本に増加しているので需要の変化率は10%です。

先ほどの需要の価格弾力性の公式に当てはめると、需要の価格弾力性=0.5になります。

1より小さければ、弾力性が小さい商品です。

醤油は価格が下がったとしても需要が大きく変動する商品ではないことが分かります。

醤油などの生活必需品はこのような傾きが大きい(=急)なものになります。

生活必需品ほど傾きが大きい、需要の価格弾力性が小さいという傾向がみられます。

ぜいたく品や代替品がある商品は需要の価格弾力性が大きい

次はエアコンを例にしてみましょう。

1台10万円の場合、200台売れ行きがあります。

それが2万円値下がりすると300台売れるようになります。

10万円から8万円に値下がりしているので価格の変化率が20%、売れている数量は200台から300台に増加しているので需要の変化率は50%です。

よって価格の弾力性=2.5となり、1より大きくなるためエアコンは弾力性が大きい商品といえます。

ぜいたく品や代替品がある商品は価格が下がったら需要が大きく変動する商品であり、傾きが小さい(=緩やか)なものになります。

ぜいたく品ほど傾きが小さい、需要の価格弾力性が大きいという傾向がみられます。

供給の価格弾力性

同じように供給曲線も価格の弾力性が違えば傾きも変わってきます。

供給の価格弾力性も需要と同様の公式で求めることができます。

供給の価格弾力性=供給の変化率(%)÷価格の変化率(%)

需要の価格弾力性と同様にこの数値が1より大きかったら弾力性が大きいと言われ、1より小さければ弾力性が小さいといわれます。

生産調整の難しいものは供給の価格弾力性が小さい

例えば供給量がさほど変化しないプラチナの例を見てみましょう。

縦軸の価格が400ドルの時100トン売れていたのが、440ドルに値上がりしたとしても供給する量は101トンにしかなっていません。

これはプラチナという貴金属の採掘量が限られているため、供給が制限されるからです。

価格が上がったとしても供給量を大幅に変動させることができない商品なんです。

価格の変化率は400ドルから440ドルへ値上がりしたので10%、供給の変化率が100トンから101トンなので1%。

価格の弾力性は0.1となり1よりはるかに小さいので、プラチナは供給の価格弾力性が小さい商品といえます。

特に生産調整が難しいもの、石油やレアアース、農産物などは価格の弾力性が小さく、グラフの傾きが大きい(=急)という特徴があります。

供給に余裕のある商品は供給の価格弾力性が大きい

現在、世界でもっとも生産量の多い合成繊維はポリエステルですが、2番目に多いのがナイロンです。

このグラフだと、ナイロンは70万円のとき20万トンしか供給していなかったものが、77万円に値上がりして生産者の利益も増えそうだというときは供給を28万トンに増加させています。

価格が上がったら供給が大きく変動するということで傾きが小さく(=緩やか)なります。

価格の変化率は70万円から77万円に値上がりしているので10%なのに対して、供給の変化率は20万トンから28万トンへ変化しているので40%。

価格の弾力性は4なので1より大きいので、弾力性の大きい商品だということが分かります。

特に工業製品など供給に余裕のあるものは供給の弾力性が大きく、グラフの傾きが小さい(=緩やか)という特徴があります。

価格の弾力性のまとめ

価格の弾力性が1より小さいと価格の弾力性が小さい。

需要曲線の場合は生活必需品、供給曲線の場合は生産の調整が難しい商品ということが分かります。

逆に価格の弾力性が1より大きい数字となる場合は価格の弾力性が大きい。

需要曲線の場合は贅沢品や代替がきく商品だというのが分かるし、供給曲線の場合は供給に余裕のある工業製品というのが分かります。

この傾きに関しては難関大レベルになっていきますので必要な人はしっかりやっておきましょう。

まずは基本となる需要曲線と供給曲線の特徴をつかむということが大切になってきます。

以上今回の記事はここまで!

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