【株式会社とは】

経済分野

どうもminiいけ先生です。

株式会社って聞いたことがあるけれど、よく分からない。

どのような仕組みで成り立っているのかが分からない…という人が多いのではないでしょうか。

実は、株式会社は出資者である「社員」のものなのです。

なぜなら、資本主義社会では経営者よりもお金を出したオーナーの方が地位が高いからです。

この記事では、株式会社の歴史から仕組みまで解説します。

株式会社の内容は受験でも頻出なので、この記事を読み終えると得点源になること間違いなしです。

今回の記事でわかること

  1. 株式会社誕生の歴史
  2. 株式会社の基本的な仕組み
  3. 株主になるメリット
  4. 企業の社会的責任(CSR)とは
  5. 株式会社の形態とその変遷

解説動画はこちら【株式会社】

株式会社の誕生歴史

企業が事業を始めるにはどうやって資本金を調達したらいいと思いますか?

「はい、銀行からお金を借りればいいと思います!!」

そうですね、正解です。

銀行からお金を借りることを「借入」といいます。

もちろんこのお金は借りたお金なので返さなくてはいけません。

しかもレンタル料、いわゆる利子がかかってきます。

返さなくてはならないお金より、返さなくてもいいお金だと企業は嬉しいですよね。

この返さなくていいお金が「株式」の発行によって調達できるということです。

世界で初めての株式会社は1602年にオランダで設立された東インド会社(VOC)といわれています。

当時オランダからアジアなどに出向いて胡椒などの香辛料を集めてくるときに、航海するには莫大な費用がかかるのと命の危険という大きなリスクがありました。

しかし、ハイリスクなぶんインドや東南アジアでとれる香辛料が高値で取引できるためハイリターンです。

そこで、東インド会社は大勢から資金を募り、その費用を航海や人件費にあてることを始めました。

このときに誰が、どれだけの資金を出資したかを示した証明書として「株式」が発行されたといわれています。

もし、航海が失敗しても一人ひとりの損失は少なく済み、成功すれば投資家は資金を提供したことによるリターンを得れます。

東インド会社では、構成する取締役の任命権は設立時の出資金の大小、すなわち「株式」の所有数によって定められていたようです。

①全社員の有限責任制、②会社機関の存在、③譲渡自由な等額株式制、④確定資本金制と継続性という特徴から株式会社の起源とされています。

イギリスの産業革命においても、共同で出資して有限責任という特徴の「株式会社」の仕組みが資本主義発達の原動力になっています。

実は、出資者はローリスクでハイリターンを得られる可能性があるのです。

株式会社の基本的な仕組み

投資家は資金を提供したことで、会社が利益を上げたときに、その一部を受け取る権利である「株式」をもらいます。

株式を紙に表した有価証券を「株券」といいます。

この株券を証券取引所で自由に売買できる企業のことを「上場企業」といいます。

上場というのはその会社の株式が証券取引所で売買されることを指します。

例えば、経営者が「資金調達をするために上場しよう!」と考えたとします。

これは株式を証券取引所に公開するということです。
公開すれば証券取引所で自由に株式を購入できるようになります。

それを見た投資家が「あの会社のことを応援したいな」「あの会社の株価は上がりそうだな」などと思ったらその株式を購入します。

もともとは、上場企業は株券を紙で証明書を発行していました。

インターネットが発達していない時は手サインで取引されており、非常に人が活気づいていたようです。

しかし、現在ではインターネットでの取引しかできません。

2009年に「社債、株式等の振替に関する法律」によって株券がすべて電子化(ペーパーレス化)されました。

ただし、上場していない企業は紙または電子で選択が可能です。

日本の代表的な非上場企業はサントリー・竹中工務店・佐川急便などがあります。

株主になるメリット

株式が購入されたことによって得られた資金を使って、経営者は会社を運営していきます。

基本的に株式によって企業が得た資金は返済不要な資金です。

返済不要な資金は、会社にとっては「自己資本」と言われるものになります。

「自己資本」や資本に関する知識が抜け落ちている人は、下の記事をご覧ください。

株主にメリットがないと、返ってこなくなるかもしれないお金を投資しませんよね?

そのメリットを紹介していきましょう。

①最高決定機関である株主総会に参加できる(条件付き)

株式会社において最も権限を持つのは、出資金を出した有限責任社員である株主です。

会社を運営することよりも、お金を出資することの方が地位が高いというイメージを持っておきましょう。

その絶対的な権限を持つ株主が集まる株主総会が株式会社では最高決定機関になります。

日本の場合、株主総会への参加条件は1単元(100株)以上株持っていることが条件になる企業が多いようです。

1単元株(100株)という株の最小限売買単位が株主総会の一票に換算されます。

もっと分かりやすくいうと、株をたくさん持っている人ほど票数が多いということになります。

株主総会では、意志表示をできる同時に取締役などの役員を決定することができます。

  1. 取締役
  2. 監査役
  3. 重役
  4. 役員

取締役は、株式会社において対内的に経営に関する意志決定を行い、対外的に会社を代表する役割を担う役職の人たちのことをいいます。いわゆる経営者チームです。

2005年の会社法改正前までは株式会社において取締役は3名以上必要でしたが、改正を経て1人以上でよくなりました。

この取締役から代表取締役が選出されます。

海外だとをChief Executive Officer(CEO、最高経営責任者)といわれ、業務執行担当のトップとして任命されます。
この代表取締役(CEO)は、社外から選出される場合もあります。

監査役は日本の場合なら、設置は義務になっています。

大企業は最低1名の社外監査役も置くことが義務づけられています。

監査役は80%以上を社外から選びます。

監査役に代わって過半数の社外取締役を含む取締役3名以上で構成される監査等委員会が、取締役の職務執行の組織的監査を担うというものもあります。

この監査等委員会を設置している会社を監査等委員会設置会社って言います。
そのままですね。

会社で不正が行われないように、第三者のチェック機関を作ることで信用が高まる効果があります。

取締役会の中に三委員会(監査委員会・報酬委員会・指名委員会)というのを置く形態もあります。

代表取締役は指名委員会から選出されます。

三委員会の設置、指名委員会も設置している会社のことを指名委員会等設置会社といいます。

③重役は株式会社における取締役・会計参与・監査役の役員の総称です。

④役員は株式会社における幹部職員のことをいい、重役と同じような意味合いで使われることもあります。

②配当(インカムゲイン)が得られる

株式によって資金調達した企業の業績が上がり、利益を拡大させていくと株主にもいいことがあります。

それが配当(インカムゲイン)です。

株主への還元ですね。

企業が成長し、利益が増えると配当も増額されることがあります。

日本では通常1年に1回~2回ので額面金額の数%程度と言われています。

アメリカではCoca-Cola Company(コカ・コーラ)やJohnson & Johnson(ジョンソンエンドジョンソン)などの企業は年に4回の配当があります。

株式を紹介する雑誌やサイトなどで「高配当株を探せ!!」のようなタイトルを見たことはありませんか?

これは配当の利回りが大きいものを紹介してるんですね。

ただし、「高配当=好業績」という単純なものでもありません。

高配当にすることによって、投資家からの資金調達をしようとしている企業もあります。

このことには注意しておいて下さい。

業績が悪い時は「配当なし」(無配)という場合もあります。

新型コロナウィルスの蔓延によって、業績が悪化したJAL(日本航空)などは無配になりました。

③株価差益(キャピタルゲイン)が得られる

株式購入時よりも高く売れば差額が利益になります。

これは、ロウソクと呼ばれるチャートなんですが、単純な話しで安く買って、高く売って得た利益が株式差益(キャピタルゲイン)です。

配当はインカムゲインなので区別をしっかりしておきましょう。

ただし、株式市場というのはありとあらゆる事象が複雑に絡まりあって織りなすものなのでなかなか読むことはできません。

安値で買って高値で売ることができればいいですが、購入時よりも値下がったところで売ってしまうこともあります。

これを株価差損(キャピタルロス)といいます。

④株主優待がある

株主優待とは、「株主様ぁ、いつもありがとうございます!!特別のプレゼントです!!」というものです。

資金を出資してくれた人に対してありがとうございますって優待するのは当たり前の話しなんです。

例えばオリエンタルランドの株を持っている場合、ディズニーランドの1日パスポート券が株主優待としてもらえます。

他にも野球用品とかで有名なミズノの株主になっていたら、お買い物券・優待割引券っていうのが送られてくるそうです。20%もOFFしてくれます。

しかし、最近では株主優待にコストがかかりすぎること、保有年数によって優待の差をつけることが不平等であることなどから廃止にする企業も増えてきています。

株式会社の経営形態とその変遷

株式会社は経営者・代表取締役を中心とした取締役たちが経営をしています。

企業は資金を調達するために株式を公開し、そこで得た資金を元手に付加価値を生み出しています。

取締役たちは会社経営のプロです。

一方の投資家・株主は「お、あの会社のこと応援したいなー」と言って出資、お金を出している人です。

株式会社を所有しているのは投資家・株主なのです。

ゆえに株主のことを「会社の所有者」と言うこともあります。

日本では、基本的に株主が経営者に口出ししないのが主流になっていました。

すなわち経営者と株主の間は分離されていると言われています。

このように経営者と株主が完全に分離している状態のことを、「所有と経営の分離(資本と経営の分離)」と言います。

経営は経営者のプロに任せよう、お金を出すだけが株主だという考え方でした。

不祥事の連続

近年、経営者たちの不正や企業の不祥事というのが頻発しています。

2000年代に入ってからこれだけの大きな不祥事が発生しています。

特に代表的なのが雪印食品廃業事件です。

雪印乳業系列の食品会社であった雪印食品は、雪印乳業の食中毒事件と同時期の2002年に輸入牛を国産牛と表示した牛肉偽装問題が発覚しました。

大企業の不正を告発したのは取引先の中小企業でした。

この不正問題をきっかけに雪印食品は半世紀の歴史に幕を閉じたのです。

不正は信用・ブランドを傷つけ、ときには会社を潰すことになるんです。

企業が行うのは生産活動だけではないということを理解しておかないといけません。

企業の社会的責任(CSR)

企業の目的は利潤の最大化ですが、それだけではありません。

企業には経済主体として社会的責任(CSR)があります。
コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティーです。

CSRの主な4つ挙げておきます。

  1. メセナ
  2. フィランソロピー
  3. コンプライアンス
  4. ディスクロージャー

1つ目はメセナ。フランス語です。

メセナとは文化・芸術団体の活動に対して資金援助や施設の提供を行うという活動です。

企業が文化・芸術支援を行うことは社会貢献の一環とされています。

2つ目はフィランソロピーです。

フィランソロピーは慈善的寄付活動のことです。

企業は利潤を得るだけではない、慈善活動も寄付も行うということです。

3つ目がコンプライアンスです。

条約・法律・条例等の法令遵守をするということです。

これこそ「責任」ですよね。

そして4つ目がディスクロージャーです。

ディスクロージャーは企業情報を開示・公開せよというものです。

その他にも説明責任(アカウンタビリティ)などもあります。

これらの用語はしっかり区別をして覚えて下さいね。

コーポレート・ガバナンスという考え方

企業に社会的責任があるのは当然だし、不正があるのは言語道断。

ということで最近の考え方では、経営者・代表取締役たワケの分からないことをしないように投資家・株主たちがしっかりと監視するという考え方が出てきています。

これをコーポレートガバナンス(企業統治)と言います。

企業の意思決定の際、社内の不正行為の防止に努めるよう監視する仕組みのことを指します。

株主が経営者に対してプレッシャーをかけていくということです。

取締役を株主代表の経営監督機関のような位置づけにする仕組みもあります。

CEO(最高経営責任者)を業務執行担当のトップとして任命し、CEOと取締役を完全に分断させて、取締役を監督機関にします。

少しレベルの高い回でした。

企業の社会的責任、ならびに不正防止のためのカタカナ用語たちは確実におさえておいて下さいね。

以上、今回の記事はここまで!

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