【高校生・大学生のためのキャリアデザイン】
どうもminiいけ先生です。
突然ですが「あなたはどのような大人になりたいですか?」
この質問に対して、的確で具体的な回答のできる高校生は希有(けう)でしょう。
「自分は将来どんな道に進めばよいのか」
「自分はいったい何に向いているのか」
「大きい夢はあるが実現は可能なのか」…
アイデンティティの確立していない青年期の君たちなら当然考えることです。
しかし、考えずにただただ惰性で過ごすのもいかがなものでしょうか。
小学生から大学を卒業するまで16年間もあるのに、何が好きで、何が得意で、何を大事にして生きていきたいか、ということと向き合わないというのはおかしいでしょう。
就職活動前に少しだけ考えるような問題ではないのです。
この記事を最後まで読んでいただくと、自分の人生を自分で切り拓くために考える訓練、下準備になると思います。
是非最後まで読んでください。
今回の記事でわかること
- キャリア形成について
- 意図的につくりにいくキャリアと結果的にできるキャリア
- キャリア形成において大切なこと
- 自分のしたいこととできること
- 社会に要請されること
- 自己理解の大切さ
キャリアを形成するとは?
キャリアとは一般に仕事・経歴・就職・出世などのイメージで使われることが多い言葉です。
厚生労働省が提唱しているキャリアの定義の中には以下のような言葉が示されています。
『時間的持続性ないしは継続性を持った概念』
働くことに関わる「継続的なプロセス(過程)」と、働くことにまつわる「生き方」そのものを指しているのです。
キャリア≒人生といっても過言ではありません。
人生は選択の連続です。
何かを選択すると他のものが選択できなくなります。トレードオフの関係です。
その選択を意図的・意識的に行うか、偶発性に任せるかは後に大きな影響を与えることになります。
意図的につくりにいくキャリア
キャリア形成において、自分の羅針盤として目標や計画を設定することは重要になってきます。
目標設定の大切さはこちらの記事で解説しています。
【すべての悩みは目標を設定することで解決する】
どうも、miniいけ先生です。 なかなか勉強のモチベーションが上がらない。ただ漫然と日々を過ごしている。 実はこれらの悩みはすべて目標を設定することで解決します。
目標の設定によって才能とパワーを集中させやすくなったり、自らのモチベーションにつながったりします。
自分は何のために、その資格を取ろうとしているのか。
自分はなぜその目標を定めたのか。
そもそもの理由に立ち返り、目標を達成した暁には何をするのかを、できる限り具体的にイメージすると突っ走ることができます。
しかし、目標や計画に縛られすぎないことも大事です。
目標や計画がうまく展開しない場合、他に芽吹く可能性のあった才能を摘んでしまうことになるかもしれません。
「自分はこれになるしかない!!」といった想いに固執してしまうと他の選択肢が目に入らなくなり、自分の可能性を限定してしまいます。
選択肢をいたずらに狭めるのではなく、柔軟な姿勢でキャリア形成にのぞんでいきたいところです。
結果的にできてしまうキャリア
意図的につくったキャリアに対して、「結果的にできてしまうキャリア」は出たとこ勝負です。
過去の偶然が必然であったと感じたり、過去の経験がすべてつながっていくように感じるキャリア形成のことです。
流れに身を任せるイメージです。
このキャリア形成はオープンマインドで柔軟的に構えることで、想定外の可能性を引き出すことができます。
一方で偶然の出会いや環境の変化に頼らざるを得ず、偶発的で漂流するといった高いリスクもあります。
一歩間違えてしまうと「あぁなんだったんだろう、この仕事人生は…」となりかねません。
これを防ぐうえでも、若いうちからのキャリア教育はとても重要だと考えています。
自己実現のキャリア形成において大切なこと
人生やキャリアは予測できないからこそ面白いものです。
しかし、偶然や運に任せすぎると「漂流感」があります。
意図的なキャリア形成をしつつ、リスクをとる姿勢を忘れず、キャリアを切り拓いていくしなやかさが大切です。
キャリアをつくる要素は「1軸+3層」といわれます。
1軸は「夢・志・目的」などです。
これは「自分のやりたいこと」という認識でOKです。
やりたいことが軸にある人はそれだけで強みですが、やりたいことが見つからないという人も多いはず。
そのときに自己分析が有効になります。
3層のうち、すべての土台となる1層目が「マインド・価値観」です。
価値観は、教育や環境、人間関係などその過程の積み上げによって無意識のうちに形成されていきます。
自分の原点である価値観を理解している人は、ゆるぎない信念でその志を形に変えていきます。
この価値観が2層目の「思考特性・行動特性」につながります。
思考と行動は「態度」や「習慣」になります。
日々の行動・習慣が現在のあなたを形作っているものです。
そして、思考や行動、態度や習慣が物事を遂行するための能力的資源・資産である3層目の「知識・技能・資格・人脈」につながります。
キャリア形成においては、3層目にスポットライトを当てがちですが、高校生や大学生は1軸である「自分のやりたいこと」と1層目の「自分の価値観」を言語化して、把握することが非常に重要になってきます。
自己実現できるキャリア形成において大切なことが3つあります。
- 自分がやりたいこと
- 自分ができること
- 社会に要請されること
この3つを意識しつつ自己分析をすすめていきましょう。
自分のやりたいことを見つけるために
「自分は何をやりたいのか」
この単純ですが極めて基本的な自問が、自分自身の一流の仕事への出発点になります。
ただし、「これが自分のやりたいことだ!」と決めつけるのはよくありません。
先ほども紹介したように、キャリアには偶発性がつきものだからです。
「これが自分の軸だ」と思っていたこと以外が自分の強みになっていくこともあります。
正解はないのが基本だと割り切りつつも、少しでも自分が納得できること、自分がやりたいことに近づいていく不断の自己分析が重要です。
「やりたいこと」「自分の納得できること」を見つけるために以下のことを洗い出していきましょう。
- 過去を分析する
- 自分の長所を発見する
- やりたくないことを探す
①過去を分析する
自分をつくりあげてきたものは「過去」です。
過去を振り返るからこそ、未来への一歩を踏み出せます。
ここでは、自らの頑張ったことや経験したことを掘り下げていきます。
以下の7つの質問に答えて下さい。
答えは必ず紙に書き出して可視化しましょう。
自らのコンセプトを書き出して、可視化することによって自分が何を考え、どう行動していくかが明確になっていきます。
- 今までの人生であなたは何を頑張ったことがありますか?または、何に熱中したことがありますか?
- なぜ頑張ること、熱中することができたのですか?
- その活動を続けられた理由は何ですか?
- あなたが取り組んだ課題や問題、直面した困難なことは何ですか?
- どのようにして課題や問題、困難に対して向き合いましたか?
- 行動した結果はどのようなものでしたか?
- その経験の結果から学んだことは何ですか?
回答例
- 野球部での活動を頑張った
- 多くの失敗を重ねる中で、試行錯誤によって得られる結果が違うことに魅力を感じたから。
- 多くの失敗のなかで、たまに成功した時の達成感があったから。ともに一つの目標に向かう仲間がいたから。
- チームメイトのモチベーションの低下。練習環境の悪さ。
- 練習メニューを工夫して効率よくすると同時に、チームメイトのメニューもともに考えたり、声掛けを変えたりした。
- チームがある程度同じ方向にむいたが、一部のチームメイトのモチベーションは上がらなかった。
- 他人のことよりも、自らのことにしっかりと目を向けて技術や心の成長に時間を割くべき。
上記の記述は何を隠そう、私の過去の経験です。
書き出してみると、試行錯誤する中で成果を出すことに生きがいを感じているようです。
そして、そのハードルが高いほど燃える性格だとも言えます。
ただし、他人を変えることができなかった過去の経験、自らの思っていた以下の結果だったことからチームでの成長よりも、自らと向き合って自らを成長させたいという思いがあるようです。
実際に、そのような性格だとも思います。
今回は部活動で書き出しましたが、勉強、ボランティア、課外活動、学校行事での活動も書き出してみましょう。
ここで重要なのは複数の経験でこのようなシートを書き出すことです。
過去を分析することで、自分がどのような人間で、どのような価値観を持っているのかを見つめるきっかけにしましょう。
②自分の長所を発見する
推薦入試や就職活動では「自分にはどんな長所(売り)があるのか?」を説明することになります。
「学生時代に頑張ったこと」を詳しく掘り下げると、様々な経験で何度も発揮されている「長所」が見えてくるはずです。
過去の経験を振り返って自らの長所を探しましょう。
ここで、大事なポイントは「複数の経験に共通して発揮されている長所」を探すことです。
あなたの人生の中で、何度も発揮されている長所は、「あなたの人柄に根付いた、本当の長所」であるといえます。
長所をあぶりだすために以下の3つの質問に答えて下さい。
- ①で過去を分析した中で、複数の経験で共通した行動パターンはありましたか?
- その長所は以下のどれに該当しますか?(複数回答可)
行動力/集中力/決断力/創造力/適応力/分析力/企画力/計画力/協調性/リーダーシップ/コミュニケーション能力/責任感/社交性/前向き/忍耐力/負けず嫌い/思いやり/挑戦心/努力家/積極的/向上心/独創的/几帳面/再起力/学習力/マネジメント力/交渉力 - 2で選択した長所を踏まえて、あなたをあらわすキャッチフレーズを考えて下さい。
特に3の自分なりのキャッチフレーズというのが難しいと思いますが、自分を売っていくうえでこれを考えているのと考えていないのとでは大きな差があります。
miniいけ先生の回答例
私の場合、野球・勉強・学校行事とで共通した行動パターンとして「既存のものへ疑問を持つこと・試行錯誤すること」が挙げられました。
長所としては、「分析力」「計画力」「向上心」を選択しました。
そこからつけた自らへのキャッチフレーズは「創造的破壊とチャレンジ」です。
シュンペーターが提唱した「創造的破壊」です。
この「創造的破壊」という言葉は、経済学者であるシュンペーターが提唱した、イノベーションが古い経済や経営体制を破壊し、新たな経済発展を生み出すという意味です。
破壊とチャレンジというのをキャッチフレーズでつけてみました。
これは、私の仕事においても大切にしていることです。
③やりたくないことを探す
やりたいことが分からないのは選択肢が多すぎるからだという考えがあります。
「やりたくないこと」を考えて書き出すだけで選択肢を減らすことができるし、選択基準も明確になってきます。
人間誰しも「こういうのは、生理的に嫌だ」というのがあるものです。
たとえば「体育会系の雰囲気が嫌だ」「理系のオタクの話しにはついていけない」などです。
いくら「やりたいこと」にチャレンジできる会社でも、「やりたくないこと」の面が多すぎると、仕事が嫌になってしまいます。
仕事選びのフィルターのためにも「やりたくないこと」とも向き合いましょう。
「やりたくないこと」を見つけると「やりたいこと」が見えてくるという逆説的な意味合いがあります。
やりたくないことをあぶり出すために以下の3つの質問に答えて下さい。
- 学生時代に嫌だった経験を振り返って具体的に答えて下さい。(複数回答)
- それぞれの経験に共通する「嫌だった」ポイントは何ですか?
- 「嫌だった」ポイントを減らすためには、どんな環境が必要でしょうか?
miniいけ先生の回答例
嫌だった経験は、先輩や先生の理不尽な指示や命令です。
野球部での活動で、土砂降りの雨の中で先輩が「グラウンドの水をスポンジで吸って練習できるようにしろ」と私たちに命令しました。
先輩の命令は絶対ですから、作業をしたのですがスポンジで吸っている量よりも雨が降っている量の方が多い状況に「何してんだろ…」となった覚えがあります。
また、学校の先生が好き嫌いで生徒を判断していたこともすごく嫌でした。
嫌われている生徒は何をしても、生徒指導の対象になっていたのですが、キャラ的に好かれている生徒は同じことをしてもお咎めなしでした。
私がその渦中にいたわけではありませんでしたが、許せない気持ちは芽生えていたように思います。
非生産的・理不尽な行為に「嫌だな」と感じることが多いです。
嫌だなというポイントを減らすためには、体育会系の環境はあっていないのかもしれないということが分かります。
『やりたくないことはやらなくていい』より下記の文言を引用しておきます。
やりたくないことをやらない。
これはすごく勇気のいることだし、実際に「やらない」まで持っていくためにはかなりのエネルギーと根気を必要とする。
環境を変え、自分自身を変え、何より周りの人の認識を変える必要もあるだろう。
自分のできること
人には強みと弱みがあり、学校でも得意科目と苦手科目があると思います。
キャリア形成に向き合ってこなかった人、満足できないキャリアを送っている人にはなぜか「人生の不得意科目」で生涯にわたって勝負している人が多くいます。
苦手なことをやっていても疲れるだけで、何も得られることはありません。
得意なことをやれば、楽しく成果を出すことができます。
あなたの強みは何ですか?
それを活かして仕事をしましょう。
人の弱みは治らないし、治ったとしてもその分野で強い人には勝てません。
「好き」「やりたい」だけで仕事を選ぶのではありません。
才能があり、努力も誰よりもでき、ライバルよりこだわりがあるという「強み」がなければ、趣味と仕事の線引きができません。
得意なこととは
得意なこと=才能です。
自然と人よりも上手にできて、やっていて苦なく心地のいいことを指します。
以下に例を挙げておきます。
- 頑張らなくても無意識にやっている
- ストレスがないので夢中になりやすい
- やっていると自分でいられる感覚がある
- 他の人に対して「なんでこんなことができないの?」と思う
得意なことは生まれつきもっているものです。
自分を変える努力でなく、自分を活かす努力をしていきましょう。
ここをしっかりとあぶり出して、先ほど考えた「自分のやりたいこと」を掛け算すれば天職に出会えます。
「好きなこと」×「得意なこと」=天職
ピータードラッカーの言葉を引用しておきます。
強みのみが成果を生む。
弱みはたかだか頭痛を生むくらいのものである。
しかも弱みをなくしたからといって何も生まれはしない。
強みを活かすことにエネルギーを費やさなくてはならない。
社会に要請されていること
自分の強みが見つかって、好きなことが見つかっても社会が必要としていないことならばキャリア形成はできません。
働く動機は5段階のステップに分かれると考えられています。
①最初のステップは「お金」のために働くというものです。
生きていかねばならないという自分が、働くという行為を促します。
これは「外発的動機」と言われ、やる気が単発的で反応的な行動となり、持続性がありません。
②次のステップが「承認」です。
誰かに認められたい、何かに帰属・所属していたいという自分です。
それがやりたいことか、得意なことかは一旦横に置いて就職することで社会的な承認を求めるものになります。
③次のステップが「成長」段階です。
自分の可能性を伸ばしたい、専門性を深めていきたいというものです。
能動的に行動できるようになってはいますが、そこにいるのは「自分」という一人称だけです。
④次のステップが「共振」です。
共振とは、振動が外部から加わると、振動の幅が大きくなる現象のことをいいます。
ここでは、自分という「振動体」を主因として他の人たちと分かち合い、ともに協力し行動することを指します。
何らかの影響力を与えていくというものです。
⑤最終ステップが「使命」です。
おおいなる意味を満たしていくという段階です。
社会の何のために、何を成し遂げたいのか。
自分にとっての社会的使命感が何かを打ち出せれば一流への一歩となります。
「この問題を解決したい」「こんな会社をつくりたい」という強烈な思いや、そこから来る「社会的使命感」があれば人もお金もついてくるでしょう。
使命的なテーマを見出し、そこに邁進する人には①お金②承認③成長④共振も同時についてくるということです。
いわゆる「シャワー効果」が発生します。
自己理解こそ自分らしい人生のスタート
キャリア形成は試験ではかるような1つの答えがはっきりとはありません。
すぐに答えが見つかるものではないので、どうしても避けてしまいがちです。
「自分はいったい何がしたいのか?」
「自分の人生にとって何が大切で、何が幸せなのか?」
こういった根源的な問いは誰しもが答えに困ります。
世の中には本当に多様な生き方があり、それを選択するのは自分自身の責任です。
人生は選択の連続。
自分軸で人生を選べるように、高校生・大学生のうちから自己分析をしておくことがキャリア形成につながると信じています。
以上、今回の記事はここまで!