【需要供給曲線の読み取りかた】

経済分野

どうもminiいけ先生です。

需要曲線と供給曲線はグラフの読み取り方がまったく分からない。

需要・供給曲線が出題されたら飛ばすという人が多いのではないでしょうか。

実は、このグラフ問題は理解ができれば得点源になるということを知っていましたか?

需要・供給曲線の仕組みを知れば、経済が感情で動くということがより理解できて経済の勉強が楽しくなります。

この記事では、需要曲線と供給曲線が交わったときのグラフの読み方とその特徴をそれぞれ解説します。

この記事を読み終えるとグラフ問題がきても怖いものなしです。

今回の記事でわかること

  1. 市場について
  2. 需要・供給曲線を読み取るときの注意点
  3. 実際の問題の解き方

解説動画はこちら

需要曲線と供給曲線の特徴

買い手(Demand)売り手(Supply)が出会う市場(マーケット)について見ていきたいと思います。

グラフでいうと需要(Demand)曲線供給(Supply)曲線が交わることになります。

Demandは経済主体でいうと「家計」で、Supplyは「企業」です。

「~が欲しい」という家計の消費活動と「~を売りたい」という企業の生産活動のそれぞれの感情について考えましょう。

その前に復習をしておきます。

需要曲線は右下がりの曲線でした。

安ければたくさん欲しいと思い、高いといりませんとなり価格に大きく左右されます。

対する供給曲線は右上がりの曲線でした。

高いとたくさん利益が出るからどんどんつくります、安いと利益薄いしつくる気がなくなります。

この買い手(Demand)と売り手(Supply)が出会い、財やサービスが取引される場を市場(マーケット)と言います。

生産者の方は高く売りたいと思っていて、消費者の方は安く欲しいに決まっとんがなって話ですよね。

この気持ちが交わる市場ではどのような動きがあるのか具体的に見ていきましょう。

需要・供給曲線が交わったときのグラフの読み方

グラフの見方は手順があるので注意していきましょう。

  1. まず縦軸と横軸の単位を見る
  2. 縦軸見て、横に進んで需要曲線とぶつかったら下の数量を確認する
  3. 縦軸を見て、横に進んで供給曲線とぶつかったら下の数量を確認する

まずは縦軸の数値を見てから、横に進んで曲線にぶつかったら下の数量を見るという訓練をしていきます。

例えば電子レンジの市場を見てみましょう。

まずは縦軸と横軸の単位の確認からします。

縦軸が「価格」、横軸が「数量」になっていますね。

価格が3万5000円のとき

価格が3万5000円のとき、欲しいと思う気持ちである需要曲線はどうなっているでしょうか。

縦軸を見て横に進んで需要曲線にぶつかったら下の数量を確認する」でしたね。

縦軸の価格3万5000円を見て、赤い線である需要曲線にぶつかったところの数量を確認すると、2人欲しいという人が出てきています。

一方で供給曲線の方はどうでしょうか。

縦軸を見て横に進んで供給曲線にぶつかったら下の数量を確認する」でしたね。

縦軸の3万5000円を見て、青い線である供給曲線にぶつかったところの数量を確認すると、売り手の方は10台生産するということがわかります。

2人が欲しいという状態なのに、供給している台数が10台なので供給し過ぎの「超過供給」の状態です。

レンジ1台3万5000円のとき供給量は10台、需要量が2台なので10 − 2で8台が売れ残ります。

この売れ残りのことを「在庫」といいます。

生産者である企業は在庫を抱えることを嫌がります。

お金にならないし、管理費用もかかるからです。

なので値下げしてでも売りたいと思うんです。

「在庫一掃処分セール」とか見たことはないでしょうか。

超過供給のときは生産者は販売価格を下げる傾向にあるということです。

価格が1万円のとき

続いて縦軸の価格が1万円の場合を見ておきましょう。

1万円のときは、価格が非常に安いので購入したい人が増えます。

縦軸の価格である1万円のとき、横に進んで需要曲線である赤の線にぶつかったら下の数量を確認すると、9台需要があることが分かります。

それに対して、生産者は安かったら利益が出ないのであまりつくりたいと思いません。

縦軸の価格である1万円のとき、横に進んで供給曲線である青い線にぶつかったら下の数量を確認すると、3台供給したいと思っています。

電子レンジ1台1万円のときに生産者は3台つくりたいと思ってるけど、消費者が9台欲しいと思ってるので3-9=− 6台になります。

6台足りないという状態は超過需要で「売り切れ状態」だということです。

この場合、生産者は少し値段を上げても売れるのではないかと考えます。

超過需要のとき、生産者は在庫不足解消と利益確保のため値上げを検討しだすということになります。

価格が2万円のとき

最後に縦軸の価格が2万円のときを考えましょう。

消費者も生産者も2万円のときは6台欲しいと思うし、6台売りたいと思ってますね。

この真ん中の点、バランスがとれた点のことを均衡点といいます。

資源がちょうどいい感じで配分されたということで別名「資源の最適配分」ともいわれます。

価格が2万円のときは生産者は6台つくりたいと思っていて、消費者が6台欲しいと思ってるので6-6=0台でバランスがとれる。

価格が3万5000円のときには超過供給になってしまう。

価格が1万円のときには超過需要になってしまう。

この一連の流れを見たときに買い手(Demand)には価格の決定権がないのが分かるでしょうか。

あくまでも価格を決定するのは生産者(Supply)側であるということです。

逆に、この売り手(Supply)は買い手(Demand)の気持ちを無視して価格をつけても売れ残ってしまうのです。

これらのことが需要・供給曲線から分かるんですね。

市場では売り手と買い手のお互いが妥協点を探って、歩み寄る形で真ん中に寄っていくようになっており、そのバランスで価格が決定されます。

市場には需給(需要と供給)のバランスを調整する機能があり、これを「価格の自動調節機能」といいます。

これをカタカナでかっこよく言うと「マーケット・メカニズム」といいます。

このような市場の機能を「経済学の父」とよばれたアダム・スミスは著書『国富論』の中で「見えざる手が働いている」と表現しています。

市場では需要者と供給者を自由放任(レッセ・フェール)していても、お互いが歩み寄り、適切な資源配分を行うと考えたのです。

センター試験の過去問から学ぶ

需要・供給曲線の読み方分かったところで、実戦練習をしていきましょう。

2009年センター本試 第5問 問3

需要・供給曲線の問題がでてきたときの注意点は5点です。

  1. 比較的長めの文章で出題されるので、条件やヒントがちりばめれている
  2. 縦軸と横軸の単位を確認する
  3. 需要曲線は右下がり、供給曲線は右上がりなので矢印をつける
  4. 縦軸見て、横に進んで需要曲線とぶつかったら下の数量を確認する
  5. 縦軸を見て、横に進んで供給曲線とぶつかったら下の数量を確認する

問題には「ある農産物について政府が提示する買い上げ価格に対して、供給されるようを一旦政府が買い上げその上で政府がそれらを消費者に販売するという政策を考える」とあります。

これだとよく分からないですよね。

ある農産物をコメと置き換えておきましょう。

生産者(Supply)はコメ農家になります。

需要者(Demand)がコメの消費者になります。

このコメ市場に政府が介入してきて、いったんコメを生産者から買い上げて、そのコメを政府が消費者に販売するそうです。

すると、供給者(Supply) が政府になります。

需要者(Demand)は消費者で変わりありません。

このような「条件」をまず読み解くことが重要です。

続いて「政府が提示する買い上げ価格をP1とする。政府は買い上げた量と需要量が一致するような販売価格を設定するものとする」とあります。

これも言い回しがよく分からない。

簡単に言い換えると「Supplyである政府がDemandである消費者がいう価格に完全に歩み寄るよ」ということになります。

供給曲線は右上がりの曲線で需要曲線は右下がりの曲線、印をつけて下さい。

縦軸の単位が価格で横軸の単位が数量だということをしっかり確認しましょう。

まずは供給曲線である政府の気持ちから見ます。

縦軸のP1が政府買い上げ価格です。

縦軸をみて横に進んで供給曲線にぶつかったら下の数量を確認しろ!でしたね。

数量を確認すると、Q1でした。

政府は価格P1でQ1の量のコメを売りたいと思っています。

次は需要曲線である消費者の気持ちを確認しましょう。

縦軸の価格がP1のとき、横に進んで需要曲線にぶつかったら下の数量を確認しろ!でしたね。

価格がP1だとQ2より少ない量しかいらない、価格が高いのでいらないのです。

ここで先ほどの条件である「Supplyである政府がDemandである消費者がいう価格に完全に歩み寄る」を適用させます。

政府がコメ農家から買い取ったQ1の量のコメを売りたいと思ったら、どれぐらいの価格に設定しなければならないかというと、Q1から逆回転させることで分かります。

Q1から上にいって需要曲線にぶつかって、縦軸の価格を見ると消費者はP3の価格にしてくれないとダメだと思っています。

政府としては「えー、そんな安くないとQ1の量を買ってくれないの?」と思っているでしょう。

しかし、「政府が消費者に歩み寄る」という条件があります。

政府はP1でコメ農家から買ったコメを消費者の欲しいと思う価格P3で売ることになるんです。

高く仕入れて安く売るという謎の行動をとわけですね。

P1 ―P3のぶんだけ赤字になるということです。

ここまでの流れを整理しておきます。

①政府はP1の価格でQ1の量のコメをコメ農家から買い上げた

②消費者はP3でないとQ1買わないと思っている

③Supplyである政府はDemandである消費者に歩み寄り、P1で買い取った米をP3で売ることになってしまった

④P1 −P3のぶんだけ赤字が発生し、政府が負担することになる

ということで答えが「2」でした。

この問題は非常に解きごたえのある良問でした。

縦軸見て、横に進んで需要曲線にぶつかったら、供給曲線にぶつかったら、それぞれの下の数量をを見ろ!

基本的な手順を何度も繰り返せば、グラフも上手に読み取れること間違いなし!

基本を大切にしましょう。

今回の記事はここまで!

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