【会社の種類は5つだけ】

経済分野

どうもminiいけ先生です。

実は、日本にある会社の種類は5つだけということは知っていましたか?

まず前提として、企業と会社は違いますね(詳細記事はこちら)。

日本の企業数は2016年の数字だと359万になります。

そのうち会社の数は266万社です。
2018年の数字では273万社に増加しています。

そこで働いている人を「社員」言うこともありますが、ここでは社員=従業員ではないんです。

意外と勘違いしていることが多い「会社」や「社員」。

この記事では会社の種類とその定義を学んでいきたいと思います。

共通テストでも頻出分野なので気合い入れていきましょう!

今回の記事でわかること

  1. 有限責任社員とは
  2. 無限責任社員とは
  3. 株式会社について
  4. 有限会社について
  5. 合資会社について
  6. 合名会社について
  7. 合同会社について

解説動画はこちら【会社の種類】

5種類の会社は営利法人に区分される

会社は利潤の最大化を目的とする私企業です。

復習をしておきましょう!(詳細記事はこちら

私企業は個人企業共同企業に分かれました。

個人企業は個人が出資して経営する小規模な企業を指します。

主に個人商店・農家・小規模な飲食店・フリーランスとよばれる自由業者などです。

共同企業は2人以上の出資で経営する企業のことをいいます。

この共同企業は法人企業と非法人企業に分かれました。

法人企業は人と同じような権利や義務を持つものです。

「法」律で認められ、権利・義務を持つ「人」格という意味です。

法人企業では利潤の最大化を目指す営利法人とそうでない非営利法人があります。

営利法人の中でも株式会社・有限会社・合資会社・合名会社・合同会社が会社法という法律で定められた「会社」と呼ばれるものです。

社員=従業員ではない

会社を始めるにあたってのポイントは「資本」でした(詳細はこちらの記事)。

「資本=事業スタートの資金」です。

自ら用意した資本や、投資家による株券購入によって企業自らが調達した資本は「自己資本」といいます。

実は、この企業に対してお金を出資する投資家のことを経済用語で「社員」と言うんです。

よく勘違いしてしまうのですが、「社員」というのは従業員ではありません。

社員というのはお金を出してくれた人のこと。

出資者=社員なんです。

ここは絶対的に押さえておきたいところです。

この社員は2つの種類に分かれます。

無限責任社員

無限責任社員は、会社の債務(借金)に対して全財産をあげて弁済の義務を負う社員のことを指します。

すなわち、無限責任社員は会社の借金=自分の借金になります。

たとえば、会社が3億円の借金をしたら無限責任社員も3億円の借金を背負うということになります。

リスクがかなり高いため、無限責任社員は会社の経営に大きく介入するという特徴があります。

有限責任社員

有限責任社員は、会社の借金に対して出資額の限度内で責任を負う社員のことを指します。

有限責任社員はもし会社が倒産したとしても、自分が出資したお金だけが戻ってこない社員のことです。

有限責任社員は会社の借金がそのまま自分の借金になっていましたが、有限責任社員は出資したぶんだけの有限責任になります。

会社というのは会社法で規定されたもの

そもそも「会社」って何なの?

会社というのは2005年に制定された「新会社法」により設立された、営利活動を目的とした法人のことです。

もともとは会社に関する規律は「商法第2編」「商法特例法」「有限会社法」などバラバラだったため、2005年に会社法として一つの法典に統合して再編されました。

2005年の改正前と改正後の会社の定義をみておきましょう。

注目点は以下の4つです。

  1. どのような社員で会社が構成されるか
  2. 資本金(事業スタートのお金)の額
  3. 取締役の数
  4. 会社の種類

2005年の「会社法」改正前の会社の定義

株式会社

株式会社の特徴は以下の3点です。

  1. 有限責任社員のみで構成される
  2. 最低資本金は1000万円以上
  3. 取締役は3名以上

株式会社に無限責任社員はいません。

株式会社における有限責任社員は別名「株主」とも言います。

最低資本金は1000万円以上で事業スタートにおける資金準備のハードルは高めに設定されています。

取締役とは会社の具体的な経営内容を決定する役職の人のことを指します。
株式会社においては3名以上が要件になっています。

有限会社

有限会社の特徴は以下の3点です。

  1. 有限責任社員のみで構成される
  2. 最低資本金は300万円以上
  3. 取締役は1人以上

有限会社も株式会社と同様に無限責任社員は存在せず、有限責任社員のみで構成されます。

ただし、有限責任社員が出資する最低資本金は300万円となります。
株式会社は1000万円でした。金額の違いはしっかり覚えておきましょう。

取締役の数は1名でかまいません。
株式会社は取締役の人数は3名以上が要件になっていました。

有限会社は株式会社よりも要件が緩めに設定されています。

合資会社

合資会社の特徴は以下の3点です。

  1. 有限責任社員と無限責任社員の混在
  2. 最低資本金の規定なし
  3. 取締役の数も規定なし

合資とは「資本をあわせる」という意味です。

これは有限責任社員と無限責任社員の両方で構成されるということを指します。
最低2人以上で設立が可能です。

無限責任社員は会社の借金=自分の借金になるくらいリスクを負っているので、経営に深く介入します。

有限責任社員はお金を出資するだけといったケースが多いです。

すなわち、無限責任社員のみが経営に携わる会社で「所有と経営が一致する」といわれます。

このように所有と経営が一致する会社を「持分会社」といいます。

合資会社は、会社設立費用が株式会社の設立に比べて安く済みます。

株式会社の設立費用は登録免許税などで25万円程度、合資会社は10万円程度です。

合名会社

合名会社の特徴は以下の3点です。

  1. 無限責任社員のみで構成される
  2. 最低資本金の規定なし
  3. 取締役の数も規定なし

合名とは「責任を共同で負うために名を書き連ねる」という意味です。

これは無限責任社員のみで構成されるということを指します。

出資者である無限責任社員のみが経営に携わる会社で、合資会社と同様に所有と経営が一致することから持分会社と言われます。

合名会社は純粋に無限責任社員のみしかいないということがポイントです。

合資会社と合名会社の区別は頻出です!

2005年の「新会社法」へ改正による会社の定義

改正前の会社は「株式会社」「有限会社」「合資会社」「合名会社」の4つが会社とされていました。

新会社法により改正された3点を意識して理解してきましょう!

  1. 最低資本金制度の廃止・取締役の人数制限改正
  2. 有限会社は新設不可(存続のみ可)
  3. 合同会社の新設

最低資本金制度の廃止・取締役の人数制限改正

株式会社は最低資本金が1000万円以上、取締役が3名上が要件でした。

有限会社は最低資本金が300万円以上、取締役が1名以上でした。

このような違いがあったのですが、「最低資本金制度の廃止」が決まります。

もう少し簡単に言うと「1円から株式会社を作っていいですよ」となりました。

同時に取締役も1名以上でOKという改正がなされました。

この改正によって起業が増えて、生産活動を活発にしようとする狙いがありました。

今の時代は事業をスタートする際に1円以上あれば株式会社が設立できます(設立費用には25万円程度必要です)。

最低資本金1円、取締役1名以上という改正によって株式会社と有限会社の区別がなくなったという点に注目です。

有限会社は新設不可(存続のみ可)

株式会社と有限会社の区別がなくなったため、有限会社の存在意義がなくなりました。

そこで新会社法が施行された2006年以降は有限会社は新設ができなくなりました。

ただ、2006年の会社法施行前から存在していた有限会社は存続OKです。

現存している有限会社は2006年以前に設立したものです。
2006年以降は有限会社は設立されていません。

合同会社の新設

3点目の改正ポイントは、新たに合同会社が設立できるようになったことです。

合同会社の特徴は以下の特徴があります。

  • 有限責任社員のみで構成される
  • 全社員の総意で定款(利益配分や権限など)を決めることができる

新設された合同会社は有限責任社員のみの社員構成のため株式・有限会社的です。

社員は1人のみでもOKです。

株式会社の場合、出資者である株主の出資比率が大きいほどの発言権が大きくなります。

これに対して、合同会社は全社員の意見で運営するといった合資・合名会社的な特徴があります。

株式会社と有限会社、合資会社と合名会社のそれぞれのいいとこ取りをしたものが合同会社であると言えますね。

合同会社のメリットはその設立費用が安いことはもちろん、自由かつ迅速に経営の意志決定ができるということがあります。

加えて、定款(利益配分や権限)も自由に作成できるので機動的な運営ができます。

株式会社なら株主総会で反対されると、提案が却下されるデメリットがあります。

合資・合名会社なら無限責任社員の責任が重すぎるため、会社経営に失敗した際のリスクが大きくなります

その間をとった合同会社が設立されたということです。

2019年は約12万社の新しい会社が設立されました。

そのうち、株式会社が8.8万社、合同会社が3万社です。

全体の3分の2が株式会社で、3分の1が合同会社となっています。

会社設立数の株式会社と合同会社の内訳をみると、株式会社は直近では減っているのに対し、合同会社は順調に増えています。

合同会社の認知度の上昇にともない、合同会社の設立ニーズも急速に拡大しています。

最後にまとめとしてこの図に注目して以下のポイントをおさえておきましょう!

  • 無限責任社員は会社の借金=自分の借金、有限責任社員は出資額の範囲内で責任を負う
  • 2005年の会社法改正前は株式会社の最低資本金は1000万円、有限会社の最低資本金は300万円
  • 合資会社が無限責任社員と有限責任社員の混在、合名会社は無限責任社員のみで構成
  • 2005年の会社法改正で①最低資本金制度の廃止②有限会社の新設不可③合同会社の新設

以上、今回の記事はここまで!

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